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クラリネットオーバーホール ~魅惑のピンクゴールド編~ その1

気が付いたら一か月も更新をサボっておりました。(;´・ω・)
1月中仕事が無かったわけではなく、忙しさを理由にし、また、夜も飲んだくれていたことが、主な原因です。
そこで、今回は1月の修理の代表ともいえるクラリネットオーバーホールをご紹介いたします。
是非ともご覧いただいて、共感頂けた方は、拍手なんぞをポチっとして頂ければ、ありがたいです。

今回掲載許可を頂いた、このクラリネットは、中学校の教員をされている方の所有の楽器ですが、この方が中学生当時のときに買ってもらった、大変思い入れのある楽器だそうです。
長年使ってきたことと、顧問になった吹奏楽部で、楽器が足りない時に生徒に貸し出している際に、キイなどの劣化が進んでしまったそうです。
これまであまりこの楽器に手をかけてあげられなかったという、依頼者様の思いもあって、今回思い切って大変身を行い、この楽器との新たな演奏生活を始めるお手伝いを、当工房がさせて頂くこととなりました。
決して有名ではない当方を信じて、楽器をお預けいただけたこと、ホントに有難い話です。

まずは、最初の楽器の状態をご覧ください↓
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リングキイ部分は特に痛みが大きいです。
山の形も溶けてなくなってしまっています↓
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また、写真にはありませんが、管体内面にも大きなひび割れが発生しています。
こちらも綺麗に修正していきます。


まずはサクサク分解していきます。
この時点で針バネもバチバチ切っていきます。ホコリなども後程洗浄していきます。
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タンポを外しました。今回の修理では、以前の記事で紹介した、皮(レザー)パッドを採用いたします。
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管体が綺麗になりました。音孔周りなどは、かなり汚れが多いのですが、洗い流されて綺麗サッパリです。
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綺麗になったら、オイルをつけて保湿ケアです(´ー`)
この状態で乾燥まで数日置いておきます。
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作業は飛びますが、まだらになったキイのメッキ残り部分を剥離して、生地の状態にします。
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ここから本格的な加工に入りますが、その様子はまた次回。
あまり間を開けずに更新いたしますので、また是非ご覧ください。

それでは(^^)/~~~

こんなのあります。

久々に修理でない投稿をします。

クラリネットユーザーの方々で、タンポの耐久性に不安をお持ちの方は多くいらっしゃるのではないでしょうか?
当方にはクランポンのクラリネットレザーパッドの在庫がございます。

通常使用されているスキンタンポは、こまめなメンテナンスが必要で、使い方によってはだいぶ寿命が短かったりもします。
そこで、耐久性のアップという意味でも、レザーパッドを修理の際に使用されることをお勧めします。
音色面ではスキンのときよりは落ち着いたトーンになりますが、音孔の塞がりは向上するので、響きの面ではスキンよりもメリットがあるかもしれません。
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写真の通りで、面がフラットで大変きれいです。クランポンの純正部品ではありますが、ヤマハのB♭管・A管でも問題なく使用できます。

出来れば、全タンポ交換・オーバーホール修理などの際に採用することをお勧めします。
もちろん、音色においては一長一短がありますので、良くご検討の上でご依頼ください。

ところで、急激に冷え込みが強まって、クラリネットの管体が膨張することが多くなってきています。
そのまま放っておくと管体の割れの原因になったりするので、早めの対処をお勧めします。
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このような作業で木部の擦れを少しずつ調整していきます。
演奏後にジョイントが抜けにくくなったと感じていらっしゃる方々、早めにお持ち込みください。

E♭クラ オーバーホール ルブラン編その2 完成

さてさて、更新が遅れましたが、いよいよE♭クラの完成の記事を作ります。
すでにお客様には引き渡し済みですが、メールにてお喜びのコメントを頂戴しました。
我々技術の者にとって、こうした声はとても励みになります。

では前回からの続きです。
ご興味のある方は、前回の記事からお読みください。
もっと興味のある方は、クラリネットのタグから過去の記事をお読みください。

前回出したメッキ前の部材が、メッキを終えてメッキ屋さんから帰ってきました。
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加工した主列リングのパーツも、綺麗によみがえってきました。
これで形状の違和感は全く無くなりました。
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キイポストとベル・タルのリングはピンクゴールドに仕上げました。
こうすることで、キイポストでツートンカラーのコントラストが美しい仕上げになります。
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ところで、今まではキイの方ばかりでしたが、ここからは木の管体です。
積年の汚れを落とすために、音孔その他も洗浄しますが、汚れも落ちますが、木の油分も同時に落ちます。
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綺麗は綺麗なのですが、生地の色が出て、パサパサ感があります。
人によっては、この方が良いという方もいらっしゃいますが。


そんなわけなので、抜けた油分を取り戻すため、もう一度表面・内面にオイル処理を施していきます。
少しづつ色も元のようになっていきます。
この状態で一日置いて油を定着させます。
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一日たちました。
今日からポストを組んでいきます。形は似ていますが、1個1個全て違うパーツなので、元と同じに組むのには、多少の慣れが必要となります。
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だんだん形になっていきます。
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キイポストを組んだら、キイを1つづつ合わせていって、動きにストレスがなくなるように調整していきます。こんな地味なことを全てのキイにしていきます。
オーバーホールをする上ではとても大事な作業です。
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続いてはバネ入れです。
メッキをするとバネ穴がメッキで狭くなって、元のバネの太さが入らないようになってしまっていることが、多々あります。
針のようなドリルで0.05㎜刻みでバネ穴を修正し直して、新たなバネを太さ・長さともに合わせていきます。
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次はタンポの取り付けです。今回はお客様のオーダーで皮タンポを採用しましたが、最後に音を出したときに、この楽器はこの仕様にして正解だったと感じました。
また見た目もキレイです。(d゚ω゚d)オゥイェー♪
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また、キイコルクの取り付けをしていきますが、この時点でタンポの調整を終わらせて、適したキイコルクの厚みを全て計測しておきます。
そして必要部分にキイコルクを張り付けていきます。
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全部コルクを貼ったら、キイの形状に沿ってコルクをカットします。ここの仕事が雑だと仕上がりがとても安っぽく見えてしまうので、気に入らなかったら別のコルクを貼り直して再度やり直します。

修理品のクラリネット(その他の木管楽器も)が、たとえ古い楽器でもピシッとして見えるものは、こうしたところがしっかりしているはずです。
近年の楽器では新品の楽器でもキイコルクが雑なものがとても多いです。嘆かわしい。・゚・(ノД`)・゚・。

せめて修理に来た楽器はこういったところはしっかりとやってあげたいと思います。
こうしたオーバーホールの内容の修理は高額なために、お客様の期待も大きいことと思われます。
なので、なおさら小さなところでも妥協なく進めます。
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後はキイを組んでバランス・開きを調整して完成です。
上から順に写真をご覧ください。
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↑ 左手レバーのキイの山は完全に元の形状を取り戻しました。

↓ この辺りのキイは、やや苦労した部分です。でも、すっかり復活してくれたので一安心です。
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全体の写真です。とってもイイ!♪d('∀'o) です。
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今回このお客様は長野から秋田へと、修理をご依頼いただいたわけですが、連絡を取り合いながらこうして完成させることができました。
仕上がりもご満足頂けたようで、ホッとしたのと同時に、当方とご自分の判断を信じて修理のご決断をされた依頼者様には、ひたすら感謝を申し上げる次第です。


今回の記事のように、当方では遠方の方の修理もできる限りご要望にお応えしていけるように努めてまいります。
もし、修理にお困りの方がいらっしゃれば、ぜひご相談ください。m(_ _)m

E♭クラ オーバーホール ルブラン編

毎度ご覧いただき、ありがとうございます。

今回は、メッキ再生オーバーホールです。
年間数本はこうした修理が入ってきますが、今回は初めて県外からメッキ再生の依頼が入りました。
今回のお客様は、はるばる長野県から、当方のブログを発見して、この修理の依頼をすることを決められたそうです。
数多い修理工房が全国にある中、選んで頂いたことは大変ありがたく思っております。
その期待に応えるべく、良い仕上がりを作っていきたいと思います。

今回、依頼者様から、掲載の許可を頂いたので、作業経過をこのブログのネタとして使用させて頂きました。
重ねて御礼申し上げます。m(_ _)m


今回のE♭クラリネットは、ルブランのLLモデル。状態はかなりメッキ剥がれが進行しております。

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指のあたるところは、ほとんど剥がれていて、下地からのメッキ浮きもかなり進んでいます。
リングなども指の形に溶けています。


まずはサクサク分解していきます。
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そして、メッキの剥離をします。この楽器にはニッケルメッキがかかっていましたが、剥離したら下地に銅メッキが厚くかかっていたことが解りました。これは生かして加工を進めていきます。
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主列リングは指の形に溶けてしまっておりました。
これを平らになるように加工していきます。少しずつ様子を見ながらいい形に仕上げていきます。
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こちらは作業前の写真がありませんが、キイの山の部分  ∧ ←こんな形の部分も、溶けて形がなくなっていました。ここも加工して、元の形に修正していきます。
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下の写真が再生修理の真骨頂だと、自分では感じているのですが、下磨きをするとキイカップが溶けてブツブツが発生しているのが見えてきます。ここをブツブツが消えるように様々なことをして、面を整えます。
こうした部分が多いほど、修正は大変になっていきます。可能な限り修正していきます。
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修正されました↓ 面のブツブツがなくなって綺麗になっています。これを全てのキイに施します。
一個一個程度の差はありますが、同様の状態に仕上げます。
上の写真と比べたら、違いが良く解って頂けるのではないでしょうか?
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他のキイも仕上げ磨きをします。この段階でも小さなブツブツが見つかったら修正していきます。
キイ部分はシルバー仕上げにする予定です。
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こちらはキイポスト。部品点数を数えたら50個弱の数になりました。これも一個一個形を成形したりしながら、磨き上げます。
こっちはピンクゴールド仕上げになります。
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ここまでで、メッキ前の下準備は終わりです。ただ今メッキ屋さんに部材は旅立っております。
次回メッキが戻ってきたら、またレポート致します。

ご依頼者様、完成までもう少しお待ちください(`・ω・´)ゞビシッ!!

バリトンサックスオーバーホール ~セルマーSA80Ⅱ編~ その2

またまた投稿が遅くなりました。
前回の続きです。

今まで度々このブログでも説明してきましたが、音孔の状態を整えるということはどのようなことかということをここで写真つきで説明致します。

実は音孔の状態というのは、新品の状態ではきれいな平らということはほとんどありません。
下の写真のようにフラットな金属板を当てると、光が漏れているのが解ります。(指で押さえているトコの下ね。)
こうなっていても、タンポの柔らかさが残っているうちは隙間を塞いでくれていますが、数か月もすればタンポが変化していって隙間がどんどん現れます。
特に音孔の歪みが大きい時には、タンポそのものを押したり引っ張ったりして、歪みで生じている隙間を埋めようとするのです。しかし、この方法でタンポを合わせてもタンポ自体にかなりの無理をかけていること、また、もしタンポを合わせても無理に合わせた部分はまた大きく変化していくことはご理解いただけるのではないでしょうか?
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そこで、この音孔の歪みを修正して、音孔をフラットに加工し、漏れをなくします。金属板で押さえたところから、光の漏れがなくなったのは下の写真で確認できると思います。

この加工を、すべての音孔に対して行います。とても手間のかかる工法ですが、タンポで音孔を塞いだときの精度が飛躍的に向上するのは言うまでもありません。
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次の写真も少しわかりにくいですが、キイのカップも意外と大きく歪んでいたりします。
こうした歪みも矯正することで、タンポのカップへの収まりの良さが大きく向上します。
このように、あらゆる手段を使い、タンポがごく自然な形で音孔を塞げるように、地味な調整を重ねていきます。

ちなみにこのキイカップ修正も、すべてのキイカップに対して行います。
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そして、管体のお風呂の時間です。
アルカリ系の洗剤で、音孔周りのヨダレ染みも゚+。(о'∀')bスッキリ!落としていきます。
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こうしてキイコルクなどを貼ってタンポを収めて、タンポ調整をしていきます。
上記のようなことをしていくことで、とても自然な形でタンポが音孔を塞ぐことができるようになります。
指で押さえたキイに光の漏れが全くないことがわかって頂けるでしょう。
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ここからは完成後の写真です。

Lowキイのところですが、ここは修理をする前は開きが極端に狭く、音の抜けがさぞかし悪かったろうと推察されます。
修理後は写真のように開きもゆったり取れて、豊かな響きになりました。
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少し写りが悪いですが、ボコボコの管体も綺麗になりました。ベルを分解するとヘコが直しやすくなります。
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ズルむけだったケース取手も新品になりました。
こうしたところが直るだけでもずいぶんと気持ちがいいものです。
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ケースに入れて全体をパシャリ。
はじめと比べたら、ずいぶんと綺麗になりました。音もブリブリ鳴ります。
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バリトンサックスのように大きな楽器は、修理なども比較的重症になってから依頼が入ることが多いです。
また、キイも曲がりまくったりしていて修理を諦められていることもありますが、結論から言えば、ほとんどの場合直ります。
買い替えとなると大変高額な楽器です。しかし、きちんと修理をすれば新品よりも随分と吹くのが楽になりますので、長らく修理をしていない楽器をお持ちの方は、ぜひオーバーホールをご一考いただきたいと思います。

では。(´Д`)o尸

バリトンサックスオーバーホール ~セルマーSA80Ⅱ編~ その1

ずいぶんと更新をサボってしまいました。

約1ヶ月ほど前にやった修理を今頃載せています。ついつい忙しいということを理由にしてしまいますが、今後もう少し早い更新を心がけていこうと思います。
皆様見捨てずに、またご覧になってください。

えー、そんなことで(どんなこと?)バリトンサックスオーバーホールです。
今回の修理は、今まで何度も他で修理をしてきたけど、なかなか良くならないとのことで、当工房に修理依頼が入りました。

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全体を見ると、結構管体はボコボコしています。(写真では分かりづらいですが。)
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Highキイには音孔の歪みも発生していました。音が出にくかったのは、この辺の原因にも起因しています。
どうやら過去には楽器を倒していて、4番管の曲りが発生していたことがあったようです。
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ネックもポコポコ凹んでいます。一緒に修正します。
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ケースハンドルもボロくて持つときに手に食い込みます。ここは新品に交換します。
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まずは、大まかなキイ曲りなどを修正してから、サクサク分解していきます。ベルや4番管も全て分解です。
まずはこの時点でヘコの修正をしていきます。
ちなみに作業中の写真はありません。作業をしているときに自分を写せないんで(σ゚ェ゚)σ
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このキイは魚眼レンズで撮ったのではありません。キイが歪んでいるのです。
バラしてみて初めて気が付くこともあったりします。
問題は発見した時点で解決していきます。やることが多くなってくると、忘れてしまいかねないので、その都度修正していくことが自分の作業手順では多いかな?と思います。
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タンポも分解していきます。カップの内面も綺麗にクリーニングします。ここが綺麗に仕上げるためのキモの部分です。
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あとはキイコルクも全て取り除いて、キイの洗浄に入ります。
キイの洗浄は全タンポ交換の時だけできる作業です。汚れが取れると気持ち(・∀・)イイ!!です。



今日の記事はここまでです。
また近々更新致します。(`・ω・´)ゞビシッ!!

1周年 ゚+。ヤッタァ★(o゚∀`从'∀゚o)★ヤッタァ。+゚

当工房は、皆様に支えられて、めでたく1周年を迎えることができました。
これからも、より一層技術の研鑽に励んでいきたいと思います。

これからもお引き立てくださいますよう、よろしくお願いいたします。

管楽器修理工房Klang 代表 佐藤智幸


※ちなみに記念セールなどはありません。修理屋なんで(・∀・)

マレット修理やってます。

久しぶりの更新です。

秋田は吹奏楽コンクールの県大会も終わって、学校や団体の修理はいよいよじっくり取り掛かるものが増えてきました。

8月は大急ぎでその場でどうにかできる修理や、または本番を迎えるにあたって気休め(?)になるような修理が多く、当方も団体様をハシゴしておりました。
コンクールが終わられた団体様などは、これから演奏会や楽器の引継ぎなどで、本格的に楽器を使えるようにして行こうと考えられているところが多く見受けられます。

そんなことで、そこそこ大がかりな修理が数多く、今は当工房の棚の中で、列をなして復活の時を待っています。


ところで、当方では消耗品と思われていた、マレットの頭の糸やフェルトの巻き直しを請け負っております。
今回下の写真のようなボロボロの状態のキーボードとティンパニのマレットが修理依頼でやってきました。
皆さんのところにもこんな状態のマレットが多数あるのではないでしょうか?

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これが巻き直すと新品同様です。(そりゃそーだ。新品の糸を巻くわけだから(´ー`)フッ)

下の写真をご覧ください。上の写真のアフターです。
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巻き直しの金額は、おおよそですが新品の2/3くらい、
高級品(アーティストモデル等)のマレットはシャフトと芯の違いで、新品は値段が高いのですが、上記のティンパニマレットならば新品の価格の約1/3近く(!)の値段で巻き直せるので、修理をすればハンパなく経済的です。

お預かり後約2週間でのお戻しとなります。この機会に楽器棚を見直して、経済的にマレットのバリエーションを増やしてみてはいかがでしょうか。

また、今回の修理ではご紹介しておりませんが、バスドラムやゴングのマレットなども修理をお受けしておりますので、お気軽にお問合せ下さい。

キーボードマレット祭り開催 ヽ(゚∀゚)メ(゚∀゚)メ(゚∀゚)ノ

写真がピンボケでスイマセン(;´・ω・`)ゞ

盆休み明けからの今月いっぱいは、キーボードマレット祭りを開催します。
この機会にマレットを新調したい方、こちらのコメントや、当方ホームページからメールでご連絡を頂ければ、スケジュールの調整を致します。
シロフォン、グロッケン、マリンバ用で、スタンダードからアーティストモデルまで幅広く取り揃えております。
ご連絡お待ちしております。(∩´∀`)∩
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バラバラ分解修理 & 管体洗浄

時折ふらっと当工房に修理を持ち込まれるお客さんがいらっしゃるのですが、今回いらしたのは約10年ぶりに再会した、旧知の友人でした。
わざわざ横手市(60Km位離れている)から地図をたよりに来てくれました。
こうしたお客さんはとてもありがたく、ついつい昔話に花が咲きました。

ところで楽器の症状なのですが、ハンダの剥がれが数か所あったところを長年ほっておいたら、どんどんハンダ剥がれが連鎖してきて、持っているだけでグラグラ、管が外れて息もスカスカになってしまったそうです。

もともと¥100万くらいする高級品だったので、しっかりここで一発修理をして、吹奏楽コンクールの本番に臨みたいとのご希望でした。
それなので今回は、
・ブラブラの箇所を徹底分解して、綺麗にハンダ修正する
・ロータリーの動きも修正する
・管の内面も徹底洗浄する
という内容で、修理をお受けいたしました。

まずはハンダ剥がれの箇所のクリーニングをするために、患部の最深部まで分解するのですが、ほんの数か所ハンダを分解しただけで、ここまでバラバラになりました↑
これでは演奏自体がかなり困難だったことがうかがえます。まずは剥がれていた部分の古いハンダを徹底除去します。



そのついでに、ロータリーも分解して調整の下準備をするのですが、長年の汚れ・サビがびっしりとついていました。これもしっかりと洗浄して、汚れとサビを落としていきます。
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さて、分解してわかったことですが、パイプ同士の連結の台座がこのようにぱっくりと割れていました。
さすがにこうなってしまうと、ここのパーツはもう使えないので、台座を作り直すことにしました。
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元の台座の形に金属板を切って、パイプの形状に合わせて成形し、ストレスなく組み直せるように台座同士をいい角度で固定し、銀で溶接します。これで台座の強度が確保できました。
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管体に作ったパーツを組んで、台座とパイプをハンダで接合します。
もともとのパーツと比べても違いが分からなくなりました。
なにより、これなら持ってもブラブラしません(´ー`)
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そんなこんなで、一通り組み直しました。ここでロータリーを調整して管体の洗浄をします。内面の汚れも薬品洗いで゚+。(о'∀')bスッキリ!です。
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ロータリーのバンパーゴムも全て新調しました。これを見ると細かい部分のホコリや油汚れも取れて、とても綺麗になったことがよく解ります。
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ここの”くの字”のパイプが外れていたために、息がダダ漏れしていました。ここを修正することが、バラバラにした一番大きな目的です。
しっかりとハンダ接合して、もう漏れません(d゚ω゚d)
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これで完成です。ロータリーも静かで軽やかです。
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ハンダ剥がれは初期のうちに対処をすれば、被害の拡散を防ぐことができます。
また、あまり知られていないことですが、ハンダが外れると管体の響きが落ちます。

管楽器というものは、発音した際に管全体が振動するのですが、ハンダが取れたところは振動がうまく伝わらなかったっり、振動の伝達がそこで途切れたりしてしまいます。

ホルンはハンダ接合部が多いので、こうした影響は他の楽器以上に顕著に表れます。

ぜひ一か所だけだからと我慢をせずに、早めの対処をお勧め致します。

ティンパニオーバーホール ~パール編~

お久しぶりです。
やっとブログも更新しています。学校などの団体様は吹奏楽コンクールシーズンとなり、朝早くから夜遅くまで練習に励まれていることと思います。
当方も団体様からお呼びを頂いて、修理のお仕事の依頼が続けて入ってきております。有難いことです。

そんな中で、今回はティンパニの修理をご紹介いたします。当方は管楽器修理の工房ですが、打楽器の修理経験も豊富で、特にアクションの機構が複雑なティンパニの修理は今まで何台も手掛けて参りました。

よくある症状として、
・叩いているとチューニングが上がる(または下がる)
・ペダルが重い
・チューニングがよく狂う
・ペダルを踏むとギチギチ、パリパリなどの音がする

等の症状があります。
楽器の限界などと思われていたり、またはそのように言われてきたことが多いのではないでしょうか?

こうした症状は、きちんと調整すれば大幅に改善します。
特にペダルのアクションとチューニングの乱高下はピタリと直ります。
どんなことをしているか、ここでお知らせしていきたいと思います。

このティンパニは、叩くたびチューニングが狂い、ヘッドも何年も交換をしていないという状態でした。
ペダルは踏むと妙な重さがあってなかなかの状態です。



まずはヘッドを外して、ベース部分の分解です。
ホコリにまみれた部分を修正していきます。
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次はペダルです。古いグリスが固くなって悪さをしています。
ここも分解してクリーニングをして、新たなグリスを入れます。
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ここがペダルティンパニの心臓部、バランススプリングです。
ところで、ここでペダルティンパニの機構について、少しお話をしておきます。
ペダルのバランスは、ヘッドの張りの強さと、バネの引っ張りの強さが均等になったとき、綱引きをしたようになって静止します。
つまり、ペダルを踏んでチューニングが上がるとヘッドのテンション(張りの強さ)が上がることになるので、
それに準じてバランススプリングも強く引っ張って綱引きをします。

こんなイメージですが伝わりますか?

叩いていてチューニングが変化するということは、綱引きをしているヘッド側とバネ側で、どちらかの引きが負けてしまっている状態なのです。
ティンパニの調整とは、この綱引きの均衡を取らせる作業なのです。

話が長くなりました。次に行きます。
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チューニングボルトのハウス部分です。ここもホコリ、グリス切れなどで動きが鈍いです。
上の写真がビフォー、下がアフターです。動きが軽快になりました。
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続いて、テンションロッドのホルダーです。ここも分解の上で新しいグリスに入れ替えます。
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チューニングインジケーターのハウス内もクリーニングします。
ここのホコリが原因で、針が動きにくくなることもあるのです。
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ヘッドを貼る前に大事な工程で、ヘッドが擦れて変化するエッジ部分に、テフロン加工されたすべりのいいテープを貼っていきます。これによってエッジ面が均等になり、ヘッドが動くときのストレス軽減になります。
テープの値段が高いですが、これはヘッド交換においてとても大事な作業です。
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ここまでやって、ようやくヘッドを新しいものに交換です。
今回は本革に近い風合いの、ルネッサンスヘッドを採用しました。落ち着いたいいトーンです。
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このような修理は、一台につき半日、4台で丸2日の時間を要します。
時間もお金もかかりますが、劇的な効果が現れますので、長年ほったらかしにしてしまったなと感じていらっしゃる団体様には、お勧め致します。

ちなみにこの修理はさすがにお預かりが困難なので、出張にて対応致します。修理にあたっては事前にパーツなどの確認が必要なため、見積もりが必要になる場合があります。

ご依頼のには遠方の方にも対応致しますので、ティンパニの修理でお困りの方は、ご一報ください。

取り扱いにはお気をつけて。。。  ―ファゴット音孔再生―

前回アルトクラのオーバーホールをアップしましたが、そちらと並行してこんな修理もしていました。

今回はファゴットの修理ですが、これから紹介する内容は、学校の備品ではとてもよく見受けられる症状です。

ファゴットは構造的にウォーターキイなどを持たず、ダブルジョイントの下部に水が溜まりやすいのですが、正確な取り扱いの方法を習った生徒が少なく、水抜きをほとんどしないまましまっていて、木が水を吸って腐食してしまい音孔の形状が著しく変形しています。
今回の修理でも、長年かけてこのような状態になってしまったのでしょう。こうなると楽器店さんからは修理を断られるケースが多いかと思います。

修理屋さんとしてはほっとけない状態なので、この音孔再生をしていきます。今回はこれをメインにご紹介していきます。
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写真がちょっとわかりづらいのですが、音孔が欠けていて音孔内面もカビで黒々としております。
すこし木をドライバーなどでツンツンしたら木がボロボロと崩れてしまいます。



まずは、この音孔が腐ってしまっているところを全て削り落とし、硬い正常な木部が出るまで削っていきます。
虫歯治療の歯医者さんのように、病巣部を取り除いていきます。
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腐った部分は取り除かれ、病巣部は綺麗になりました。


ここからいろいろなことをして、エボナイト(木管のマウスピースなどに使われる材質)のパイプを自作して、音孔に埋め込み、音孔の形状と一体化するように成形していきます。
具体的な方法は公表しませんが、音孔の角度や高さ、形の作り方はなかなか技術を要します。
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このような修理方法を今回は取りましたが、このようにエボナイトのパイプを埋め込むことにより、今後の音孔のトラブルはほぼ無くなります。


タンポを取り付けて合わせました。
音孔の形状がきれいなので、ものすごくタンポが良く密着します。
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今回の修理ではダブルジョイントのタンポは全部、その他のタンポもところどころ交換しました。


ところでファゴットのジョイント部分に糸を巻いているものにもコルクグリスをつけていることがありますが、糸を巻いている部分はコルクグリス厳禁です!
ファゴットジョイントは糸を巻いている場合はジョイントのきつさを糸の増減で調整していて、そこにグリスをつけると糸が早々に劣化してしまいます。
今回の修理ではジョイント糸も全て交換しました。
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そのほか、ブーツのパッキン部分の漏れが大きく、そこの修正にも少々手間取りましたがこれがしっかりすると音の鳴りが大きく向上します。
そんなこともしながら、各部のサビ落とし・細かなところの汚れも全て分解した際に修正して、組み上げました。古い楽器でもとても気持ちよくなります。

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組み上げて試奏をして完成です。今までとは比べられないほど大きな音が出ます。鳴ります(d゚ω゚d)

ファゴットは買うと金額も大きく、なかなか団体様では古い備品に困っておられることも多いかと思われます。
しかしながら、このように音孔にトラブルが発生していても対処の方法はございます。

しかも修理には技術者の経験と慣れも必要な部分が多いので、このようなダブルリード系の修理でお困りの方はご一報いただければと思います。

もっとファゴットは使えるものになるはずです。


それでは。(´Д`)o尸

アルトクラ フルオーバーホール その5 完成

さて、長らく取り掛かっておりました、アルトクラの修理もようやく完成して、依頼を頂いた団体様にもようやく納品することができました。

各部がどのように仕上がったかを、できるだけ細かく見て頂けるように、写真をたくさん用意しました。
オーバーホールをご依頼する際のご参考にしていただければと思います。

まずは全体の感じです。
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ベルを中心に写してみました。
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次は下管です。キイの形状を損ねないように仕上げることに苦労しました。
また、ここはキイポストの作り直しを数か所しています。よくよく見ても、そうと解らないようになっています。
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キイカップは磨きが難しいです。(;゚д゚)
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続いて上管です。長いキイの側面を綺麗にするのが、なかなかの労力です。
細かいパーツが多いのも大変なところです。
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ネックはピンクゴールド仕上げです。とても(・∀・)イイ!!です。
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ところで今回の修理では、ケースハンドルも新品に交換しました。
ここがリフレッシュすると、ケースを持つのも楽しくなります。
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納品前の最後の写真です。
嫁ぐ娘を送り出す心境です。(自分には娘はいませんが(´゚∀゚`;))
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そしてこの楽器も当工房からお客様の元へと帰っていきました。
この修理をご依頼いただいた団体様は、前回E♭クラもこれと同様のフルオーバーホールをさせていただきましたが、今回もケースを開けた瞬間、「スゲェ―――――!!!」とのうれしい反応を頂きました。

この先様々な演奏会でこの楽器の輝く姿が見られることでしょう。
新たに生まれ変わったこの楽器が、今後のこの団体様の新たな歴史を作ってくれることを大いに期待しています。
最後に、長いこと修理に時間がかかったにも関わらず、ご容赦頂いたことに感謝いたします。


今回の記事で、当店でのオーバーホールというものが、どういうことをするものなのか、ご覧いただいている皆様に参考にしていただけたら嬉しいです。

記事に共感頂けたら、ぜひ拍手なぞ頂ければ、今後の励みにしたいと思います。

それではo(´・з・`)ノ))

アルトクラ フルオーバーホール その4

前回からの続きです。
この楽器はすでに完成しているのですが、記事の更新が追いついておりません。
前回メッキ戻りまでを記事にしましたが、キイを組んでいく前にどんなことをしているか、解説していきます。

まず、キイポストを組む前に、木部の下処理をします。木部の欠けているところを修正し、音孔などに付いた汚れを薬品で落とし、その後全体のオイル処理をします。
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キイポストを組んでみました。ジョイントコルクも新品に交換します。
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続いてキイの仮組みをしていきます。メッキ再生をしたあとは、キイをまともに組めなくなることが多いです。
一つ一つのキイを組みながら、動きの修正をしていきます。
バネもこの時に組んでいきますが、バネの長さも太さも一個づつ違うので、これはこれで大変な作業です。
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次にタンポを組んでいきます。
今回の修理では、純正はスキンタンポを使っているのですが、耐久性を上げるためとタンポの塞がりを向上させるため、白皮タンポを使用します。状況でこのように違ったパーツを選択できるのも、こうしたオーバーホールの修理の良さです。
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後はタンポ調整とキイコルクの貼り付けをしていって仕上げとなるのですが、アルトクラとバスクラは特にレジスターキイの機構に複雑なバランスの調整が必要となります。
特にバスクラはここのトラブルで音が出にくくなったという修理が多いです。

この修理の調整部分で一番難しい技術が要求される部分です。
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いよいよ組みあがりました。組んでみると存在感がものすごいです。
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次回の記事では詳細に仕上がった部分の説明をしていきます。
次回をお楽しみに。では(´Д`)o尸

アルトクラ フルオーバーホール その3

前回の続きです。
メッキ戻りのキイなどについていろいろと解説をしていきたいと思います。

今回の修理では金属部品を全てメッキをし直していますが、オリジナルと仕様を変えています。

具体的には、
ネック、キイポスト、胴リングがピンクゴールドプレート

それ以外はシルバープレートの仕様となっています。

これでも見た目には高級感があふれてきますし、重要な点がピンクゴールドであるということは、機能的・音響的にもとても意味があります。

まずはピンクゴールドの部品から見てください。↓
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これも部分的に金属が溶けてしまっていて成形が大変なところがありました。場所によっては金属を貼って削って、何事もなかったように成形し直してます。
大変なのは、なんといっても数が多い!(60個超)一個一個外す場所を確認しながら、磨いて順番に銅線にくくっていく、、、気の遠くなる作業です。


続いて、キイです。
こちらはシルバーですが、これは大きさ・形がかなり一個づつ違います。
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↓は上管の長いキイです。こういうところはブツブツが残っていると目立ちやすいところです。
また、磨きのムラも発生しやすいので、なかなかテクが要求されると感じます。
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キイカップです。ここのところもメッキ剥がれが多く、ブツブツも多いところです。
山のキワ(キイカップアームともいう。わかって頂けますか?)のところを磨くのが特に大変です。
ここがうまく磨けると仕上がりに大きく差が出ます。
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指の触れるところはもう金属が指の形にえぐれていました。でもそれはそれで指のなじみがいいので、そこを生かしつつ形を整えて、元からこうだったように作りました。
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楕円のところは金属が溶けて、ゲジゲジに毛羽立って痛くなっていました。
成形できれいになりましたが、この作業は案外難しくはありません。(程度にもよりますが)
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大物部品のベルです。
メッキ前↓
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メッキ後↓
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キズ消し加工をしてからメッキをかけ直しました。もしキズを消さずにメッキをしたら、キズがくっきりと浮かび上がってきます。

↓は軽微なヘコを修正してヘコの跡を消す加工をして磨き上げました。
ものすごい映り込みです―――d(゚∀゚d)―――
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ベル磨きは大きい部品だけに、磨きの際に高速回転の布に巻き込まれていってしまう危険度が高い作業です。
やっている間は一瞬たりとも気が抜けません。終わった後はぐったりです。
でもこうしてメッキが上がった姿を見ると、大きな達成感が得られます。

これから組み上げに入ります。次回は完成した姿をお見せしたいと思います。

それではまた(´Д`)o尸

アルトクラ フルオーバーホール その2

いつもご覧いただいている皆様、毎度のことながらアップをサボってすいません(;´・ω・)

その後の作業もある程度進んでいて、写真もたまってきているので、記事を作ります。

当工房は、やっていることは他の修理屋さんと大きく変わらないと思うのですが、他のお店が時間がかかってあまりやらないことを請け負っているためか、大きな修理がこの4月・5月と集中して入ってきております。
特に木管の修理が多く(ほとんどが全タンポ交換クラス)、今日現在でもクラリネット、T・Sax、フルート、ファゴットなどの全タンポクラスの修理を複数本抱えている状態です。(もちろんそれ以外の金管修理もあります。)

そのため、この記事に書いているアルトクラオーバーホールも、他の修理と並行しながら少しずつ進めたり状況でまとめて進めたりしながらやっています。仕上がりが遅くなっていることに、依頼を頂いているお客様からご理解をいただいていることにひたすら感謝したいと思います。

そんなわけで、前回の続きです。
前回メッキの剥離作業ができて、生地の状態になってきていたキイ類ですが、ここからキイの再生作業にかかっていきます。
下のような回転する布でキイを下磨きするのですが、その前段階としてキイのブツブツやガサガサ(表現力が乏しくてスイマセン(;´・ω・`)ゞ)を削り落としていきます。
写真はないのですが、キイの形状を損ねないようにしつつ、粗い面を整えていき、下磨きでおおよその形にします。


下磨き完了です。元の形からどう変わったかは、前の記事を参考にしてください。
元はブツブツのガサガサでした。
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2個並んだキイを見て、左側は「メッキ上がりか」と思った方、違います。
メッキ前の仕上げ磨き上がりの状態です!
右のキイの状態から、左の状態まで磨き上げて、初めてメッキをかけられるようになるのです。
キイやポスト等数えてみたら、100個を超える(!)数の部品点数がありました。
その一つ一つを上記のような仕上げにしなくてはいけないのです。
オーバーホールはなぜ高額なのか、ちょっとご理解頂けたのでないかと思います。
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そんなことをやっていって、メッキ屋さんからキイや部品が戻ってきました。
何度やっても、このメッキ戻りの姿を見るのは気持ちの良いものです d(゚∀゚d)
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今回ネック部分はピンクゴールドにしました。
マウスピースの振動をはじめに受ける部分だけに、この仕様は効果がありそうです。
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ベルはそこそこ状態が良かったため(キズはいっぱいありましたが)、メッキ剥離をしていないのですが、裏を返せば、シルバーメッキの厚みは2倍です!
ベルは楽器のスピーカーみたいなモンなので、これもまたプレートの効果が出やすい部分です。
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次回の記事ではメッキ上がりのキイやベルについて、写真とともに苦労した点などを説明していきたいと思います。
ちなみにこの楽器の組みあがりはもう少し先になります。重ね重ねご依頼のお客様には当方へのご理解に、ひたすら感謝を申し上げる次第です。

それではまた。 (´Д`)o尸

アルトクラ フルオーバーホール その1

ゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしでしょうか?
当工房も世間一般の流れに沿って休日を頂いております。
おかげさまで修理の方はかなり込んできておりますが、パーツの手配やメッキなどをする際に、関連の問屋さんやメッキ工場などもお休みをしているため、ジタバタせずに心身のリフレッシュをしておりました。

ところで、4月の中頃とある団体様から、アルトクラオーバーホールを承りました。
以前の記事で何度かしていたメッキ再生オーバーホールを、この楽器にもしていく運びとなったのです。

状態はなかなかです。やりごたえがありそうです。
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パーツの状態をアップで撮ってみました。↓
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上三つが下管の写真です。メッキはげが甚だしく、紙のようにペリペリ取れてきます。もうメッキの密着も弱いです。こうなったらそのままメッキをしても無意味です。


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そして上管です。
こちらも指の掛かるところを中心にメッキ剥がれやピンホールが大量発生しています。


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ベルとネックです。少しヘコがあったり、傷が入っていたりします。
これも今回の修理で修正して行きます。


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また、上下管連絡部のキイに、このようなヒビが発生していたりします。もちろん溶接の再施工が必要となります。

ところで、こうしたオーバーホールをする際には、文章にしても理解されにくい地味な作業が初めに必要となります。楽器の各部を細かく観察して、不良部分を一つ一つ修正するのです。
具体例の一部を挙げると、
・バネ穴位置不良の修正(おそらく生産時点でのもの)
・前に修理を手掛けた修理屋さんが、サビたキイのネジを外そうとしてキイの形が変わってしまった部分の再生
・キイのガタつきが発生している部分の管の継ぎ足し
・ドライバーでこじられて穴が広がったキイポストの穴修正

などなど、いろんなところで修理をされてきた楽器というものは、それぞれの修理屋さんのアプローチで様々な状態になります。当方でオーバーホールをする際は、一度そうした状態を正常な状態にリセットし直すことが必要となります。楽器としての機能に係わる部分なので、全く目立たないですが、とても大事な作業です。

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上記のような作業を先に施してから、機能を失ったメッキを外注で剥離しました。
しかし、メッキ屋さんが込み合っているらしく、帰って来るまで2週間程を要しました。

今回の記事ではここまでです。次ではメッキ前の下処理などを記事にしていこうと考えています。
ではまた。(´Д`)o尸

掘り出し物―再生―

新入学、進級の時期となりました。
当工房もオープンしてようやく半年を過ぎ、気持ちも新たに新年度の仕事をスタートしております。
ずいぶんとブログの更新をサボっておりましたが、おかげさまでオーバーホール的な仕事が色々と入庫しており、記事をまとめる事が億劫になってしまったことが更新が遅れた一番の原因かと感じております。。。。
どうぞ皆様見捨てずに、時々このブログを見てあげてください。また、気が向いたらメッセージなども頂戴できたら大変うれしいです。(∩´∀`)∩

えー、今回そんな中で、新入生用に修理をしてほしいと依頼を受けたテナーサックスの修理なのですが、タンポの経年変化もありますが、なんといっても至る所に発生したカビ!
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しばらくの間ケースを開けることなく保管されていたそうで、かなりイキのいいカビが発生しております。
お食事中の方はすいませんm(o´・ω・`o)mペコリン
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まずは全部を分解して、管体の丸洗いからスタートです。管体内面の汚れ、サビ、そしてカビを全て取り除きます。
それからキイのコルク、フェルト類を全て新しいものに交換です。これが結構木管修理では大事な部分で、修理全体の出来・不出来を左右すると自分では感じている部分でもあります。

また、今回はストラップリングを新しいものに交換することも修理内容に入っていました。メタルフックのストラップをお使いの方は、時々ご自分で点検をしてみてください。こんな感じになっていたらそろそろ交換の時期です。
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今回の修理では、ストラップリング部分が耐久性の高い洋白製の物に変えました。リングも今までより少し大きくなって、使いやすそうです。
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続いてタンポのカビ落としです。今回は予算の関係とタンポの寿命がまだ大丈夫なこともあって、ついていたタンポを生かしていくことになりました。
上の写真がビフォー、下の写真がアフターです。
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カビが再発しないようにしっかり消毒していきます。
かなり綺麗になっていきます。
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あとは組み込んでいってタンポの調整です。管内に光を通して漏れが発生しなくなるようにタンポを調整していきます。
これが文章で書くと簡単なのですが、木管修理では基本であり、なおかつもっとも大事な修理技術でもあります。
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全てのタンポ調整が終わったら、キイの開きを均等に整えて完成です。これで一気にこの楽器も現役の即戦力と生まれ変わりました。

次回のブログでは、なかなか団体の備品では後回しになってしまいやすい、アルトクラリネットのメッキ再生オーバーホールを数回のシリーズで掲載していこうと考えております。

また徒然に記事をアップしていきますので、ぜひご覧いただきたいと思います。
ではまた。サヨ~ナラ~(´Д`)o尸

E♭クラリネット 再生修理 その3 完成

さて、ようやく完成の記事を作ることができました。
メッキ屋さんの行ったり来たりがあって完成までは約1ヶ月を要しています。
もちろん当工房でもこの仕事ばかりをしていたわけではなく、様々な作業を並行して進めております。

前回からの続きの作業内容としては、
1・キイを仮組みして、動作のチェック
2・バネの取り付け
3・キイコルクの取り付け
4・タンポを取り付けて調整
5・キイのバランス合わせ

これで完成です。
一般的に修理内容として多くの修理屋さんがされているのは、3~5の内容ではないかと思います。
以前からの記事を読んでいただいた方は、今回の修理が手間と時間が大きくかかっていることがご理解いただけると思います。
特にキイの再生は経験がものをいうところが大きいです。やり方を習っただけでは、まずできない内容だと自分では感じています。

そんなわけで、完成した楽器を様々な角度から見てみます。
まずは全体から。
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苦労したリングの部分です。今後の修理の大きな糧になった部分でもあります。
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下管右手4枚羽(と呼んでいるレバー)や、上管右手サイドキイ(4つ並んだ楕円形)なども、キイの形が変わるほど溶けていました。今回の修正で復活です。
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指が良く触れるサムホールや指掛けは、ピンクゴールドにしています。
これで長年の使用に耐えてくれることでしょう。汚れの付着も少なくて済みそうです。
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組んで全体の姿を収めました。スカイツリーのごとく輝いています。(・∀・)
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肝心の音ですが、メッキが復活するとハリと重厚感が増す感じです。 d(゚∀゚d)
タンポの影響もあるのでしょうが、立ち上がりが早く音の切れも良いので、連符の時の音の表情が見えやすくなりました。思い描いていたE♭クラの音のイメージに近いです。

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ケースに入れて、納品です。
顧問の先生にも大満足して頂き「感動した!」とのコメントを頂戴いたしました。

今回の修理ではポストピンクゴールド、キイシルバーメッキの仕様としましたが、ご予算次第で、全部シルバー、全ピンク、24Kゴールド、プラチナなど、いかようにも可能です。
そろそろキイがくたびれてきたなとお感じの方は、ぜひご一考ください。キイが溶け始める前がお安くできるので、(手間が少ないため)お勧めです。

E♭クラリネット 再生修理 その2

さて、前回からの続きです。

いよいよメッキはがしも終わり、キイの再生作業に入ります。下の写真を見ると、「あ!なんてことをするの!」なんて方もいらっしゃると思います。しかしキイの表面が溶けてゲジゲジの状態になっているので、このようにして面を整え直してあげる必要があるのです。もちろん削りっぱなしではなく、最終的に磨きを入れて全体をツルピカに仕上げていきます。
場所によってキイが減り過ぎたところ等は金属を貼って成形し直して、その上で磨きをかけていきます。

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下の写真は粗磨きが終わった段階です。
リング類は指の形に溶けて減っていたので、金属を貼って成形しております。これで形は再生されました。
ゲジゲジのキイも形状が修復されて、表面はつるんです。
ここからもう3工程くらい踏んでメッキをかけ直します。
以前の記事でも何度も繰り返し申し上げておりますが、メッキはかけただけでは、決して綺麗になりません。メッキの1工程前の磨きが仕上がりの全てを決定します。これは使用する研磨剤や磨きに使う布の材質・硬さ・大きさ、そして研磨機の回転数まで、様々な要素を組み合わせ、仕上がりの方向まで持っていきます。
そしてキイたちはメッキ屋さんへと旅立ちました。
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約1週間後、キイがメッキ屋さんから帰ってきました。
いつもこの梱包を解いて、メッキの仕上がりを見るのが何とも言えず気持ちのいいものです。各部の仕上がりを見て、キイ一つ一つを確認します。
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形状が変わってしまっていたリング類も、見事に再生されました。
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少し寄ってみます。このキイのリング部分(他のリングもそうですが)は形の再生をしています。これでリング上面がフラットなので、指のかかりが良くなります。


キイポスト類はピンクゴールドに仕上げています。色合いがとてもきれいで、個人的に好きな仕上げです。
ところで、うちのカミさんはこのキイポストを見ると、とてもカワイイ゚+。゚(・∀・)゚。+゚と思うそうです。自分としてはカッコイイと感じるのですが、皆さんはどのようにお感じでしょうか?
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キイポストを管体に立ててみました。だんだん楽器らしくなっていきます。ここからバネなどを取り付けていきます。キイによってバネの太さが違うので、注意が必要です。ちなみに当工房ではほとんどのメーカーの修理に対応できるように、0.05㎜刻みの太さでバネを用意しています。
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さて、メッキをかけた後はキイがまともに組めなくなることがままあります。そのくらい厚くしっかりメッキがかかった証拠なのですが、その一つ一つがしっかり機能するようにキイを合わせていきます。ネジ山の切り直しなどもしていきます。
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ところで、今回の修理ではタンポをピゾーニ社製のHTパッドを採用しています。フェルトの質が良くて変化に強く、音の立ち上がりも早くなるので、E♭クラには相性がいいのでないかと思い採用しました。
修理の際はご希望により、純正以外の部材もご用意いたします。
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今回はここまでです。
次回は完成した姿をお見せ致します。ご興味がある方はまた是非ご覧ください。


E♭クラリネット 再生修理

いつもご覧いただきありがとうございます。

今回はE♭クラ再生修理のドキュメンタリーをご覧いただきたいと思います。
予め申し上げておきますが、当工房始まって以来最強の状態のコンディションでした。それだけに今回の修理では自分の中で色々と発見も多くあり、今後のオーバーホールを考える上で収穫の多い一本となりました。

依頼を頂いたところは、ある中学校の吹奏楽部さんで、吹奏楽を経験された方ならほとんどの方がご存知のコンクール全国大会常連校です。ブランドはヤマハのカスタム。ご指導の先生は、音程の良さが気にいられていたそうなのですが、キイその他がくたびれすぎていて、どうしようか、しかし買い替えるとなると金額がかかりすぎる、、、ということで当方に再生の依頼が入りました。
下の写真を見て頂くと良く解るのですが、あらゆる部分のキイが溶けてしまい、特にリングの部分などは指と同じ形に溶けて無くなっています。年間30回以上のステージをこなしながら、日々の練習に耐えてきた楽器の悲鳴が聞こえてきそうです。

期待が大きいだけに非常にやりがいがある修理です。まずは全体の状態をじっくり観察して、キイ再生のプランを考えます。


預かった段階で、メッキの残存率が10%といったところでしょうか?
また、各部のピンホール(地金の浸食によるポツポツの穴)が甚だしいです。この処置をまずもって考えないとなりません。

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今回はタンポ・コルクを外したあと、キイの残ったメッキを全て取り除くことにしました。生地の状態にすることで、メッキ前の下地の状態を作りやすくなるからです。しかし、これには手間も時間も、そしてお金も(?!)かかります。
しかし、仕上がりのことを考えたら、ここで手間やお金を(!)惜しんではいけません!そう言い聞かせて作業を進めていきます。

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ところで、管体はキイを外してすっ裸の状態にして、細かいところまで全てクリーニングします。どのようにしてクリーニングしているかは、人によってはショックが大きい方がいるかもしれないので、敢えて伏せておきます。その方が平和かもしれないです。でも劇的に綺麗になります。
(ひとつだけ言うならば、そんなに過激ではありません(・∀・))
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少し寄って写してみました。音孔周りやポストがあったところの周りなどが、ホコリや積年の汚れがたまっていたのがすっかり解消されました。
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この管体はこのあとオイル処理をして、汚れ落としで抜けた油分を補充します。

今日のところはここまでです。
実は修理品はとっくに完成しているのですが、筆者がサボっていたせいで、あまりリアルタイムでない報告となっています。

次回からはどのようにキイが再生されていくか、こちらのブログでお知らせしていこうと思います。
またぜひご覧になってください。

こんなのも作りました(・∀・)

しばらくぶりのアップです。
今回は中古でマウスピースが入荷したので、そのメッキ再生をしたのをご紹介します。
上は24Kゴールドメッキ、下は光の具合で分かりにくくなっていますが、ピンクゴールドメッキです。
どちらも年代的には古く、V・Bachの旧刻印と言われているものです。状態的にはメッキがくたびれていたので、物はいいのだから新品に再生しようとして、磨き直して再メッキをいたしました。
どちらも新品と見紛うごときツルピカ具合です。


こちらは Bach 10-1/2C 24K GP
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こっちが Bach 9C PGP
ちなみにこれは早々に売れてしまいました。
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もちろん状態によりますが、今お使いのマウスピースでもこのくらいの状態に再生は可能です。以前このブログでもご紹介しましたが、サテンの仕上げもなかなかいいものです。
このように磨き直して再メッキをすると、リムの口当たりがかなり良好になり、使っていなかったマウスピースもメイン用として復帰するかもしれません。

メッキ再生はシルバーならば¥4,200(税別)から、GP,PGPは¥6,200(税別)から承っております。(
トランペットの場合)
1ヶ月近く(タイミングにより変動)かかりますが、プラチナメッキも致しますので、ご希望の方はぜひお問い合わせください。

クラリネット中古再生 その2

いつもご覧いただき、ありがとうございます。
実は楽器はとうに完成していたのですが、ブログのアップをサボっておりました。すいません。

前回の記事ではまだバラバラの状態だったので、楽器としてのイメージが掴みにくかったかと思いますが、今回の記事でよく解って頂けるのでないかと思っています。

写真は光の具合で見難い部分もあるかと思いますが、その分写真をいっぱい掲載しました。
まずはご覧ください。

ベルとタルはリングをピンクゴールドメッキにしています。豪華です。
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上管の写真です。
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この辺のシステムはルブランのクラリネットに似ていますね。キイは硬くてとても頑丈です。
サムホール・レジスタートーンホールもピンクゴールドです。
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続いて下管です。上管下管とも一部にコルクタンポを採用しています。抜群のタッチと、立ち上がりの早い音が気持ち(・∀・)イイ!! です。
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ご覧の通りポストは全てピンクゴールドに仕上げています。こうすることで見た目にエレガントさがプラスされるだけでなく、キイのサビへの耐久性も向上し、長年の仕様に耐えられるようになります。
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右手小指のキイの作りに芸術性を感じるのは私だけでしょうか?なんとも言えない曲線美です。
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前の記事にも書いた通り、こちらの販売価格は¥198,450(税込)です。各部にピンクゴールドプレートをあしらった豪華な仕様は、なかなかのものかと思われます。
もちろんこのモデル自体が今後中古で入荷するかは全く持って未定なので、中古の楽器は一期一会です。ましてこの仕様は作らなければ他では入手出来ないので、欲しいと思った方はお早めに当方までご連絡ください。

また、今回の楽器以外にも面白い中古楽器が入荷していますが(クラリネットで)、いよいよもって修理が忙しくなってきたので、再生するのは当分先になりそうです。また中古をいじりはじめたら、こちらでご紹介していきます。

また、自分の楽器をこのような仕様の楽器にしてみたいとお考えの方、喜んで引き受けます。全てのキイをピンクゴールド、24Kゴールドプレート、プラチナプレートなどにすることもご予算次第でいかようにも可能なので、楽器をお持ちの上、ご相談ください。

クラリネット中古再生 その1

皆様、約一週間のご無沙汰です。
普段の業務のほかに、今回初めての確定申告と青色申告の決算書作成に追われ、やはりこのようなペースでのアップになってしまっています。
ブログのネタはあるのですが、整理して作るのがなかなか大変なので、時々は見てやってください。
フェイスブックをやっていらっしゃる方はアップする度にお知らせしているので、その時にでも見て頂ければと思います。

そんなわけで、今回の記事はクラリネットの中古楽器再生です。
以前の記事にも書きましたが、ただ今作業中の楽器があるので、その内容を少し詳細にご紹介したいと思います。
そうすることで、当工房での中古楽器がどのような手順で作り直されているかがわかるので、ご購入の際に安心感が得られる一つの材料になるかもしれません。

中古の再生とは、それぞれの工房でその意味する内容は異なるかと思いますが、特に当工房ではピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエなどのメッキ再生などが得意であり(もちろんバスクラ、ファゴットなども)、そうしたキイや木部のメンテナンスを最大限にやり直すことで新品と見紛うような状態に仕上げることを意味します。
ある意味使用するパッドのグレードを変更したり、メッキも古い年代のものから信頼性の高い日本の工場のメッキを施すことで、新品の時以上の楽器の性能を引き出すことが可能となるので、建築でいうところのリフォームの感じに近いとも言えるかと思います。

今回の楽器はフランスのノブレ製B♭クラリネット45Mです。もうなくなってしまったブランドですが、素晴らしい個体と出会いました。ボロいタンポの状態にもかかわらず、とにかく音の密度が濃いのです。これは仕上がった時の音が期待できます。
手元に届いたときは、こんな状態でした。
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まずは全て分解してポストも外し、完全に素っ裸の状態にして管体の洗浄をして、音孔の汚れなども全て取り去ります。これで、管体の状態を一旦リセットして、オイル処理などを施します。これだけでも見違えるような綺麗さになります。
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しかし見事な木目です。古い楽器ではありますが、この頃は今よりも良質な材がメーカーで入手しやすかったのでしょうか?よほどの高級品でなければ、現代の楽器ではこのくらいの物は拝見することはなかなかありません。
音孔の立ち上がり方もきれいです。音孔がきれいなのは、そのままパッドの密着にも影響します。
この写真で伝わるでしょうか??
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続いてキイ表面のざらついていたメッキを剥離します。ここで分かったのが、キイの下地に分厚い銅(コパー)メッキがついていたことです。もしかしたらこのメッキがあの音の密度に一役買っていたのでないかと想像されます。これにさらにシルバーメッキがのるわけで、かなり音の方も期待が持てます。
ここから磨いてツルピカの状態にします。
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そしてメッキが戻ってきました。以前オーボエ修理の記事でも書いたことですが、メッキというものはただかければ綺麗になるというものではなく、メッキをかける表面がよほどきれいな状態になっていないと、下地の粗さがはっきりと浮き出てしまい、もっとひどいとメッキの密着が悪くなり、メッキの浮きや剥がれの原因となってしまいます。もっとも技術が要求される作業でもあります。
今回はキイはシルバープレート、ポスト・リング・サムホール・レジスター音孔などはピンクゴールドプレートという仕様にしました。
補足で説明すると、ポスト類をゴールドにするということは、ネジ類のサビの発生を軽減するという効果もあります。金は変化しにくい特性があるからです。
もちろん見た目に高級感が出るということもありますが(^^)
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ポストを取り付けていきます。
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ところで、このシステムは技術屋として感心したのですが、ポストをねじ込んで入れるとバネの力でポストが動いてしまうことがあるのですが、この楽器はこうしたことが発生しやすい部分に、回り止めのロックがかかるようにパーツが構成されています。
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こんな感じです。伝わりますか? とても凝った仕掛けです。
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ポストが立ち終わりました。とても楽器らしくなってきています。
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リング類も取り付けて、ジョイントコルクを巻きました。今回の作業はここまでです。次回のアップでは完成した姿をお見せすることができます。
ちなみにこの楽器は販売致します。中古販売価格なんと¥198,450(税込)です。キイは信頼の日本製メッキで仕上げているので、この先数十年の使用に十分耐えてくれることでしょう。完成したらこのブログと当工房ホームページhttp://klangbrass.com/でお知らせいたしますので、ぜひご覧ください。

テナーサックス全タンポ交換+ヘコ

久々のアップです。見捨てずにいつもご覧いただいている方、また、修理屋さんを探していてこちらにたどり着いた方、見て頂いてありがとうございます。
今回はテナーサックスの全タンポ交換とヘコ修正です。この内容はお店によってはオーバーホールといういい方も致します。
木管修理においては、音の効果が最も表れる修理で、また基本的な作業内容が全て積み重なった物が修理の結果として、見た目にも音にもはっきりと出てくるので、その工房の力量が試される修理でもあります。

そんな依頼内容の修理が、今回入ってまいりました。楽器はカイルベルスのSXモデル。年代としては20年以上前のモデルで、管体の製造番号のところに「MADE BY WEST GERMANY」との刻印が!
なんと東西ドイツ時代の西ドイツ製のもので、時代を感じてしまいました。

依頼のお客様は学生時代にジャズ研に入られていたそうで、その時にゴリゴリした野太い音が気に入られ、その当時少数派であったものの、この楽器を購入されたそうです。
時々調子が悪くなってはその都度小修理を繰り返してこられていたそうですが、今回当工房で徹底修理をしたいとのことで、そのすべての修理をお任せいただきました。有難いことです。

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今回の修理ではところどころに大きなヘコがあり、そちらの修正もこの際一緒にとのご希望でした。
目立つところで下の写真のところを中心として修正していきます。
ヘコ修理は、もともと凹んで伸びた金属をもう一度伸ばしてなだらかに整え直すという作業ですが、それだけに跡が残りやすいため、慎重な作業と何より明確な仕上がりイメージを持つことが大事になります。
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また、今回の修理では最高級のタンポを使用して、修理することに致しました。当工房ではその修理の内容で(金額や音の方向性など)、純正とは違うパーツを採用することもあります。今回はイタリア製ピゾーニ社のプロパッドを使用いたしました。
これは純正のパッドよりもクオリティの高いもので、皮のしなやかさ、耐久性などで抜群の性能を持っています。それなら、なぜいろいろなメーカーでこれを採用しないんだ?ということになるかと思いますが、これは自分の想像では、メーカーが楽器の価格を決めるところにおいて、原価でこうした高級タンポを採用すると、最終的な販売価格としては流通の過程でどうしても価格が上がってしまうため、あえて安いタンポを採用したりしているということもあるのでないかと想像します。
修理の場合はこのようにタンポのグレードを変更して(特にこうした全タンポ修理の場合は)、それまでと音のイメージを一新するということもとても面白いことです。
修理によってより一層いい状態を作り出すためにも、全て純正の部品を使うことが必ずいいというわけではないこともご理解頂けたでしょうか?
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さて、まずは全て分解をして、ヘコの修正からスタートです。作業中の写真はありませんが、仕上がった写真だけは撮ったので、こんな感じになるということはご確認いただけると思います。
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ここから音孔の修正をして、管体を特殊な薬品で洗浄していきます。
以前のサックス修理の記事でも書いたのですが、新品の音孔の状態というのは決していい状態とは言えません。なのでこうした機会に修正していくのですが、これもなかなか時間と手間がかかります。しかしこれをすることでタンポの密着感、耐久性が飛躍的に向上します。当工房ではこうした手間のかかることも惜しみなく実行していきます。


また、下の写真は??といった感じかと思いますが、実は普通はタンポをパーツ屋さんから取ったら反射板(丸いプレート)は工場で組まれた状態で入荷してきます。しかし、今回の修理品では一般的なタンポの大きさに対してついている反射板の大きさとは規格の変更をしなければいけない箇所が多く、このようにタンポをカスタマイズするために敢えて組み立てキットのような状態で、音孔に合った最適なタンポを製作していくパーツの仕入れをしました。これで、音孔の大きさに対してバランスのいい反射板が装着されることとなります。
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あとは地道にキイの角度を合わせタンポの閉じ具合を調整し、キイコルクやフェルトを取り付けていきます。ここからがいわゆる修理の基本が実践される内容で、修理屋さんによって同じことをしているようでも仕上がりに大きく差が出てくる工程でもあります。
ちなみにキイコルクなども、当工房ではもともとこれがついていたからという理由で、取り付けるコルクを決めたりはしません。取り付ける部分の役割をしっかりと判断して、テーマごとに天然コルク、ラバーコルク、フェルト、ビニールチューブなどを使い分けていきます。そうすることで、全体の耐久性、またタッチの均一性やキイノイズの軽減などが図られるようになってきます。
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そうして形が出来上がり、最終的に試奏をしながらキイの開きやバネの強さのバランスを決定して、完成となります。毎回この作業で持ち主の方よりも先に音を出すこととなるわけですが、ビフォーアフターの違いををはっきりと感じて、誰よりも先に感動できるのはこの仕事の役得だなといつも感じます。

この修理でさらなる音の図太さを獲得しただけでなく、音の艶もはっきりと感じられるようになりました。音の並びも統一感が出て、クロマチックでの音の転がりが心地いいです。

大変高額の修理でしたが、お客様から「金額以上の満足感を得られた」と、大変うれしいコメントを頂戴しました。
このような言葉を頂戴することが、私のような技術屋がさらなるいい仕上げを創造していくモチベーションの元となっています。
今後も更なる満足感をお客様に提供できるように、努力・研究を重ねて参ります。

クラリネットあれこれ

またしばらく更新をさぼっていましたが、また夜なべしながらブログ更新をしております。

さて、ただ今当工房にはちょっと面白いクラリネットが2本中古で入荷していて、ただ今再生中です。
まずは、クラリネットを使ったことがある方は「あれ?」と思うかもしれませんが、このクラリネットは普段使っているベーム式のキイのシステムの物とは全く違うもので、アルバート式と呼ばれるキイシステムの物です。
ブランドは Auguste Buffet PARIS フランスのオーギュスト・ビュッフェです。
詳しい素性はわからないのですが、このAuguste Buffetというブランドは1919年から始まり、1925年には広告を出していますが、いつしか姿が消えてしまっているそうです。(他のサイトより引用)
製造番号もないので、製作年代を調べる術もないのですが、かなり古い物であることは間違いないでしょう。
当方に届いた時には新聞紙にくるまれた状態で入荷してベルもタルも外れない状態でしたが、修理屋さんのコツで外すことができました。ちなみにマウスピースもグラナディラ(木)製です。
知り合いの詳しい方にお話したら、このブランドのベーム式は時折国内で流通しているそうなのですが、このアルバート式はめったに出回っていないそうです。
音色が特徴的で、音量も大きく、ディキシーランドなどのジャズのスタイルを演奏される方には好まれているようです。
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とにかく古く、まともに音は出ない状態です。ついているタンポもおそらくオリジナルでしょう。
キイの状態はメッキが施されていない状態です。この当時はメッキはかけないものだったのでしょうか?

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まずは分解してサビ落としからスタートです。この楽器に新たな息吹を吹き込むことができるようにメッキ再生までして、演奏で使える楽器にしていく予定です。

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ジョイント部分も形が悪いところがあったので削り直して整えます。このあとの作業はまた徒然にお知らせしていきたいと思います。

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さて、次はこれまたフランス製のNoblet(ノブレ)のモデル45です。これは普通の(?)ベーム式クラリネットです。
こちらももうなくなってしまったブランドですが、鳴らしやすい割に音が太く、音程も正確だったことに定評があったようです。
実際こちらは届いた時に何とか音が出せる状態だったので、自分でも吹いてみたのですが、とにかく音の芯の太さを感じられて、響きを作りやすい印象でした。
また、写真をアップで見て頂くと解って頂けるかもしれないですが、とても木目がきれいです。このような木目を持つ物は現代のクラリネットではよほどの高級品でないとお目にかかることはなく、当時の使用している材料の良さもここからうかがえます。

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今は全て分解されていて、キイの仕上げをしていますが、特筆する点はメッキの下地に分厚い銅メッキが施されていたことです。
メッキの密着を良くするために下地に銅をつけることがあるのですが、これも音に関係がありそうです。
また、音孔もきれいに立ち上げられていて、一時期の〇ランポンの高級機種よりはいい状態です。
ただ今メッキ再生中ですが、こちらも作業の様子を今後お知らせしていきます。

気になる方は、また時々このブログをチェックしてください。

アルトサックス調整 どんなことするの?

今回はアルトサックスの調整です。
でも調整ってどんなことをするのかよくわからない、そんな方々のために当工房での調整というのはどういうものか、それをここで紹介します。
修理をするお店によって調整というものの内容や意味は大きく変わりますので、当工房ではここまでやっていますととらえてください。(もちろん金額によって内容は変わりますが。)

このアルトサックスはカドソンというブランドで、プロのジャズプレイヤーを中心に数年前から国内で徐々にユーザーが広がりつつあるブランドです。最近ではクラシックの奏者もプロプレイヤーで使用される方がいらっしゃいます。
今回はこのユーザーの方は山形から依頼されてきました。年代的には5~6年ほど使用していてその間一度も調整をしたことがない状態でした。音は出ていますが、細かな点を見ていくとタンポに隙間ができていたり、キイノイズが大きくなっていたりと、経年による調整の劣化は発生しています。

まずは全て分解をしてキイコルクの不良部分のチェックやタンポの汚れのクリーニング等をしていきます。特にバランス(キイが2つ以上同時に動作する部分)を司る部分のキイコルクは全て交換を致します。

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この下の写真はベルと主管の接合部分をハンダ付けしているところです。通常はこの作業は調整には含まれません。作業はオプションとなります。というのも普通は大概のメーカーがここの部分は接着剤で固定しているか、またはテープで漏れを防いでいるかというのが現状です。
しかし管体の接合という大事な部分である、ここの部分は本来はハンダで接合して主管とベルを一体化してあげるのが、響きを作るうえではとても大事なことです。でも製作上の都合でほとんどのブランドではこの仕上げは行っておりません。
現在販売されているブランドでここのハンダ仕上げをしているブランドは、ジャパンカドソンだけでないかと思われます。
この頃はまだハンダ付けがなされていなかったので、現行のジャパンカドソンに倣ってハンダ付けを施します。
もちろん他のブランドでもこの作業は追加作業ができますので、調整の際に一緒に依頼をいただければこうした作業をすることは可能です。

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次に管体とネックを特殊な薬品で洗って、内部のサビと汚れをおとし、表面もアルカリ系の洗剤で洗います。強力に汚れが分解されて、ヨダレ染みなどもきれいに落ちます。
ちなみに全タンポ交換の場合は、キイの洗浄まで行います。
また、汚れ落としの効果として、ネックのジョイントがとてもスムーズになります。当工房ではネックコルク交換の場合はネックの洗浄も行っております。(ネック洗浄の追加料金はいただいておりません。)

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この機種(カドソン902シリーズ)の特徴でもありますが、音孔にカーリングが施されております。とても手間のかかる工法で現代では採用されているメーカーはかなり少ないです。この音孔がカドソンの響きの力強さの一因になっているものと思います。調整がハマると大変気持ちのいいタッチになります。
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これで一つ一つのタンポの具合を確認・修正してキイのタイミングバランスも調整していきます。キイの開きとスプリングバランスもこのときに見ていきます。
こうしてすべての調整が完了したら試奏をして完了です。自分が吹いてみて標準の運指の範囲の音は全て+-5セントのピッチに収まっています。サックスのピッチとしてはかなり優秀でないかと思います。
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出来上がりの写真ですが、細かいところの汚れも取れると全体の印象が引き締まります。
調整が仕上がるとクロマチックでの音のつながりも向上し、何よりピアニシモでの音のコントロールが大変楽です。
また、ベル~主管のハンダ付けの影響か、全体の響きがかなり向上し、指に伝わる振動がよりはっきりと感じられます。特に中音Dの音の通りが向上しています。

こちらの楽器ははお客様のところに発送致しました。今回のように県外のお客様にも修理の対応はしておりますので、遠方で修理の対応にお困りの方は、当方まで楽器をお送りくだされば対応いたしますので、遠方の方もお気軽にどうぞ。

ホルンヘコ修理

久々の更新となりました。
今までやってきた内容をご紹介できていなかったので、これからまた少しづつ更新して参ります。

さて、今回はホルンのヘコ修理です。あまり大した内容ではないかもしれませんが、一応こんなこともしています。
こちらは学校備品の修理品ですが、ベル胴の至る所にヘコがあります。管が薄い上にヘコを作りやすい部分なので、良くこのような状態になります。
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でもどちらかというと、この下の写真の方が症状としては大変です。
なかなか写真では伝わりにくいですが、ヘコの影響でベルスクリュー(ネジ)が歪んでしまい、ベルを組み立てる際になかなかうまくネジが入らずにギーッと音がして、ねじ込めなかったり、または組んだら取れにくいといった症状が発生している状態でした。
ホルンを使われている方は、特に学校の備品を使っていた時に、こうした症状に遭遇した経験があるのではないでしょうか?
二次災害が発生する前に、早めに修理をお勧めしたいところです。

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今回のベル胴はまだヘコのサイズが小さかったため、金属のシワなども目立ちにくく修正できました。管が半分くらいつぶれたものは修理の跡が残りやすいので、修理をする場合はご了承ください。
今回の場合は、このくらいの仕上がりです。

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ベルの方も、ヘコを修正しながらスクリューの修正をしていきます。これで正常にベルを組めるようになりました。

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この修理では、このほかにハンダ修正とロータリーの調整を依頼されていたので、一緒にその修理も致しました。
ヘコの修理は小さいうちに修理をすることをお勧めします。大きくなると修理代がかさむということはもちろんですが、心理的にヘコが一つしかないときはその部分が気になっても、そのヘコを放置していくうちにそのヘコが一つ増え二つ増え。。。。最後によほど大きなヘコができるまで放置してしまい、楽器に対しての扱いもどんどん悪くなっていってしまいます。そうした意味からも、いつもきれいな状態をキープさせていくようにして、症状は小さい時に対処することをお勧め致します。

入荷してます。

ちょっと珍しいパーツが入ってきました。ドイツのヘッケル社の純正パッドです。
皮の質がしなやかで、なかなか良さそうです。
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このヘッケルというメーカーは、世に流通しているファゴットのキイシステムの原型となったメーカーで、ファゴットメーカーの中でも最高峰のブランドとして世界的にも有名です。制作の際には細かく仕様をオーダーして製作するそうで、それだけに楽器の値段もなかなかご立派です。(新車の高級車1台分くらい?)
なかなか楽器そのものをお持ちの方は少ないですが、実はパーツはドイツ製の楽器ではほとんど同じサイズが採用されているため、他社の修理にも使えます。
今回ファゴット修理が入ってきたので、このタンポを採用して修理していこうと思っています。
また面白いパーツが入荷したら、ここで紹介していこうと考えています。
またよろしかったらご覧ください。

フルート中古再生 その3 完成

皆様あけましておめでとうございます。
本年もKlangをよろしくお願い致します。
ところで、以前から取り掛かっておりました、フルートの中古再生が完了し、販売をすることができるようになりました。
形式は ムラマツ EX ヘッドクラウン/反射板ピンクゴールドメッキ 特別仕様 です。
まずは仕上がり具合を写真でご確認頂きたいと思います。どうぞ↓

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キイに景色が映りこむほどきれいになっています。

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上記のように、新品同様の仕上がりとなり、今回採用したHTパッドの効果もあってか、とても音の立ち上がりが早くて、表情の変化もつけやすそうです。

販売価格は ¥132,300(税込)  です。新品の参考価格は¥231,000なので、とてもお買い得かと思います。
販売の際は中古保証も半年間お付けいたします。もちろん当方までご来店いただければ試奏も可能ですので、フルート購入をお考えの方はお早めにどうぞ。

ただしここで一つ注意点がございまして、ケースにはかなり使用感があり、はっきり言ってボロい状態です。
ですので、ケースを新しくしたいというご希望がありましたら、別売りですが様々なものをご紹介できますので、ご購入の際にはお知らせください。

今後もKlangでは、こうした中古再生品を作っていこうとしております。その都度こちらのブログ、並びにホームページ http://klangbrass.com/ でご紹介して参りますので、ぜひご覧ください。

フルート中古再生 その2

しばらく中古再生のフルートをほったらかしていましたが、ようやく取り掛かることができるようになりました。
磨きや部分メッキはもうできているので、まずは全体のコーティングから始めます。

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上2つの写真を良く見ると白いものが塗られているのが確認できると思いますが、これをこの後洗い流すと保護膜が残って、銀の光が一層増すようになります。磨きが込みになるオーバーホールではとても重要な作業です。

その後の作業で傷が入らないように保護テープを貼ります。ここからいよいよキイとタンポの調整になります。
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ところで、この楽器に採用するタンポですが、変化が少なく面が良質な、イタリア製ピゾーニのHTパッドを採用します。
このピゾーニというメーカーは、世界各社の木管楽器のパッドを製造しているメーカーですが、その中でもこのHTというタンポはまだ商品として新しく、採用しているブランドは少ないようです。
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ご覧の通りにとてもきれいな形をしていて角も面もくっきりしています。それだけに調整にまったく誤魔化しが効かず、かなりシビアな調整が要求されます。でも調整ができたときのタッチ感は絶妙で、スラーでの音の転がり方などは絶品です。また、音の立ち上がりも早いので、吹いた時の爽快感もまた格別です。バネのセッティングも少し弱めにして、早いパッセージをしやすくなるように整えていきます。
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このあとのタンポ合わせの作業は地味すぎてネタになりません(笑)
紙を入れて隙間を見て、また紙を入れて、、、、。。。。。
フルートの調整とはそういうものです。このタンポの調整に特殊な作業など何もないのです。(ほかの作業もそうですが。)
当たり前の状態を作る大変さが、ここにはあります。
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次回の記事で完成の姿をお披露目できます。ご興味のある方、見てやってください。
それではまた。

ベル折れ修正

ここ数日とんでもない雪の降りかたになって、秋田をはなれて約10年間していなかった除雪作業に朝・昼と勤しんでおります。
ご近所さんの話では、秋田市内でここまで降るのは稀だったとのこと。あと数年で初老を迎える、運動不足の我が身にとってはけっこうきつい作業でしたが、この冬は運動不足を解消する絶好の機会ととらえて、どこまでも前向きに考えていこうと思っています。
ところで、当工房にチューバのベルフチ折れ修理が入ってまいりました。たまには金管楽器の修理も入ってきます。
このような感じになってしまっていて、楽器を立てていてもグラつく状態となっているため、そのままにしておくと倒れて二次的な被害も発生するおそれがあるため、早めの修理をお勧めします。
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このような修理をする場合はチューバを担ぎ上げて、ベル部分にローラーをかけたり、芯金にあてがってハンマーを当てたりするのですが、特にハンマーを当てる作業が大変で、ヘコを修正する一点だけをミリ単位でベルを担いだままキープしなければいけないという状態にになります。繊細さにプラスして体力も必要とされる作業で、普段の修理とはまた違った技術が要求されます。

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これで修理が完了しました。ベルの折れが解消してしっかりと楽器が立つようになり安心・安全となりました。
またベルのフチ折れが直ると、音の響きにも大きく影響し、ベルが響きやすくなります。

当工房では、チューバはベルがカーブするくらいのところまでは修正できる設備がございます。
ベル部分が大きく凹んだ際には当工房で対処できるかと思いますので、ぜひご相談ください。

ブラブラでグラグラ

このホルンですが、ある学校からお預かりしました。
学校で使用していたホルンで良くあることですが、ハンダが外れてそのままの状態で数年を経過し、全体的にハンダ剥がれが甚だしくなっておりました。
特にホルンという楽器は管同士のつながりが複雑でハンダ付けの箇所も多い楽器です。そのため一か所ハンダが剥がれると隣接する管がまた連鎖してどんどんハンダ剥がれが進行していきます。結果10か所以上も剥がれてブラブラの状態になり切羽詰まって入院ということになりがちです。
ところで、このハンダ修理というものは剥がれたところに油や汚れがあると新たなハンダが乗らず、その場でどうにか修理しようとしてもなかなか対処しきれないことが多くあります。そのため剥がれた部分の丁寧な下処理が、ハンダ修理の大きなキモになります。

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上の写真ですが、あらかじめお断りしておきますが壊しているのではなく、直している途中です(^^)
ハンダがたくさん外れている場合は、下処理をしっかりするためにも、手の届きにくい部分は敢えてハンダを外して処置をした方がいい場合があります。今回の修理もそういうわけでベルと本体部分に分割して各部の処置をおこないました。
こうすることで今後のハンダ剥がれのリスクは大きく軽減します。


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途中経過は写真がないのですが、ハンダが剥がれていたところはきれいに付いて修正されました。
また、ハンダ剥がれが直ると全体の響きが増します。剥がれていた時とはかなりハッキリと違いが出るので、早めの修理をお勧めします。
少ないハンダ剥がれならあまりお待たせせずに修理ができますので、早めにお持ちください。

意外と重症(汗) その2 完成

前回からの記事の続きです。
こうした曲りやヘコが発生した楽器の場合、曲がる前のキイの位置や、音孔の状態など、複合的に変化した状態を元の形を想像しながら、その形状に復元させていきます。ここで判断を誤ると一巻の終わりとなるので、慎重に曲りを修正していきます。
それと同時にポスト下のヘコも修正していきます。ヘコの状態を確認する上でポストを外す必要があるので、こちらも溶接を外してヘコの修正をしていきます。
少しづつ形状が復元されていってるのが下の写真で確認できます。

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先ほどの作業をしながらキイの曲りとポストの位置関係を、管体の曲りを修正しながら探っていきます。ピッタリの位置に管体の反りが修正されると、キイがストンと動くようになり、同時にポストとの位置関係が修正されます。
このあたりの修理をする際には、自分の頭の中で3Dのようにサックスがクルクル回転して、反りを修正する方向を見つけていっている感じがします。
言葉でうまく言えませんが、ポストの正確な位置を見つけ出すのが一番大変な作業のように感じています。

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そしていよいよキイの動きがストレスフリーになったら、キイとポストの関係は修正できました。これで音孔も完全に直ったように一見すると見えますが、いったん変化した音孔は微妙なストレスが残留したままとなっています。
下の写真でストレスが残っていた音孔を完全なフラットに修正し、外していたポストも取り付けました。
ちなみに音孔は新品の状態でもしっかりフラットな状態の楽器というのはほとんどないので、この段階では修理をしたおかげで、音孔の状態は新品よりクオリティの高い状態になっています。

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こうしてやっと正常な位置に管の曲り、キイのポスト位置、音孔の状態が回復(改善)されました。キイを外した状態だと管体の曲りが、キレイに真っ直ぐになったのが確認しやすいと思います。

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ここで初めて必要なタンポの交換をして、各部のバランスをとりなおして完成です。ネックコルクも新たに交換してリフレッシュされました。
前の記事の頭の写真と比べて頂くと、修理前と修理後の管の曲がり具合の違いがはっきりと解ります。

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サックスの管体は、落下や倒れなどで様々な症状が複合的に発生いたします。楽器を落としたりして、もう直らないと断られた方もいらっしゃるかもしれません。
でもご覧のように管の曲りや音孔のつぶれも修理は可能です。修理をあきらめずにこのような症状になってしまったときは当工房にご相談ください。
最大限の努力で症状の改善に努めさせていただきます。

意外と重症(汗)

当工房には様々な状態の修理が入ってきます。
今回の修理はパッと見には良さそうに見えますが、スタンドに立てたまま倒してしまい音が出なくなったとのことでした。写真を良く見て頂くと解りますが、管体が大きく湾曲してしまっています
なんだか弓のようです。キイもところどころ動かなくなっています。
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キイを外して様子を見ると、管体の反りが発生しているところを中心に音孔が大きく歪んでいます。
この音孔が直らないことにはタンポの調整ができません。
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横から見ると結構ハデに歪みが発生しているのがわかります。
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テーブルキイのポスト下にもヘコが発生していて、こうしたものも音孔の歪みの原因の一端になっています。
この後の修正をどうしていくか、また次の記事でお知らせいたします。

気になる中身

木管楽器の修理が多く入ってくる当工房ですが、たまには金管楽器の修理も入ってきます。木管に比べて故障の頻度も少ないということもあるでしょうが、当方金管修理ももちろんやっていますし、それなりの設備もご用意しています。
ところで、金管楽器の方々、特にロータリー楽器をお持ちの方々、自分のロータリーの中身がどのようになっているか見たことがない方がほとんどかと思いますが、しばらく調整などをされていない方、また最近オイルを入れても、どうも調子が良くないと感じている方々、写真の状態に近からずも遠からずといった状態かもしれません
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上のロータリーは固まって動かない状態になっていたものですが、錆や汚れが発生していて、かなり厳しい状況になっています。
まずはこの錆を落としていきます。
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これでも最初の状態からすれば、かなり良くなっています。
ここからローターを擦り合わせて、さらにブラッシュアップしていきます。
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すると上の写真のようにきれいなローターになります。この状態ならば、組み直した時に軽快なアクションが復活します。また、錆が落ちているので、錆が錆を呼ぶ状況もだいぶ落ち着きます。
またロータリーにおいてアクションで大事な点がロータリーの軸(写真では細い方の棒のような部分)で、ここが錆びたりするとたちまち動かなくなってしまいます。普段のメンテナンスではここのオイルを切らさないように注意してください。
オイルのさし方がよく解らないな、、、という方はご相談ください。さし方のコツなどをアドバイス致します。

ジョイント欠けちゃった。。。。

時々見かけるのですが、クラリネットの木部がぶつけたり落としたりして欠けてしまっていることがあります。
この状態、コルクが効いていると何となく使用に問題がなかったりしてしまうのですが、ジョイントしているときのグラつきの原因になったり、グリスがコルクの隙間に入りやすくなってコルクはがれの原因になったりするので、やはりしっかりと補修しておくことがお勧めです。
今回この工房にもそんな修理が入ってきました。
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ジョイント先端部分が写真の通り欠けてしまっています。欠けたばかりで欠片も残っているならば補修は簡単なのですが、そんなことはない場合が多いです。盛ったり削ったりして欠けた部分を再生していきます。
作業中の写真がないので、仕上がりだけご覧いただきます↓
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同じところを写真に撮りました。ジョイントコルクは新品に巻きなおしています。パッと見には補修の箇所がわからないようになりました。
これで前述のような問題は発生しにくくなりました。
欠片もなくして修理をあきらめていた方々、上記のように修理は可能です。当工房までご相談ください。

フルート中古再生 おまけ

以前フルートの中古再生の記事の中に書きましたが、一部のパーツを仕様変更しました。それがヘッドクラウンと反射板です
こちら↓
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ご覧の通りピンクゴールドの仕様になりました。メッキとしての耐久性も高くまた、見た目の高級感もよろしいので、一部だけですがこんな仕様にしました。なんだか音の効果も期待できそうです。
以前の記事でも書きましたが、このフルートは再生ができたら販売いたします。他の仕事をしているため作業が中断していますが、また進行がありましたらご報告いたします。

よくある症状

とある団体様でティンパニの調整を依頼されました。
症状としてはペダルが重く、チューニングが安定しないとのことでした。古いティンパニをお使いの団体様ではとてもよくあることと思いますが、ペダルが重い・既定の音域以上の(音名表示板よりも広く)音域が出ている・叩いているうちに音程が変わっていく・ペダルが動いてしまう、、、などなど。
上記の症状は寿命かしら?と思っていらっしゃるかもしれませんが、この症状は各部調整をし直すことで大幅に改善します!!
通常はティンパニの音域はだいたい5音から5音半くらいの範囲で、ペダルを踏み下げてから目いっぱいまで踏み込んだところまでで変化します。
この音域の範囲が症状が悪化したものは、この音域の範囲がオクターブ近くまで変化します。そうなってしまうとペダルが滑る症状になってしまうので、ペダルの下にあるスプリング調整ネジを目いっぱい締めこんで、何とかペダルを固めているというケースが多いようです。
実はペダルティンパニというものは、ペダルを踏み込んだ時にヘッド(皮)が張られてテンションが強くなっていくことと、ペダルのバネが踏み込んだ時に強くなっていくこととが同時にリンクしてバランスするように作られています。そこのバランスをつかさどっている部分を見極めて調整することで、このペダルのバランスが改善するのです。音域もオクターブくらい出ていたものを5音から5音半くらいの範囲に調整し直すことで、今までの症状がうそみたいにスイスイと軽く動作し、ffでバンバン叩いてもペダルが動かなくなります。

こんな感じの駒の並びはよく見かけるのでないでしょうか? ヤマハの32インチです↓
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具体的な調整方法は何とも文章で説明できないのでしませんが、ネジのついている部分はほとんど全ていじります。今回はご予算の関係もあり、ベース部分のクリーニングとグリスの交換などはしていませんが、古くなったティンパニにはそこまですることができれば、より各部のストレスがなくなり、良好な状態にすることができるようになります。ティンパニのヘッド交換を検討されている場合は一緒にペダルバランス、またはオーバーホールをお勧めいたします。


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この写真が調整後のティンパニの駒の並びになります。ペダルを下げた位置からいっぱいまで踏み込んだ範囲で、こうしたDからAまでの理想的なチューニングとなりました。半音階もきれいに音合わせができます。

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ティンパニの修理は送って頂くことが困難な場合(ほとんどの場合がそうかと思いますが)、こちらから出張いたしますのでお問い合わせください。
ラディック、パールなどの調整も致します。
古いヤマハのペダルティンパニのチューニングインジケーターの取り付け加工もしますので、買い替えをお考えだった団体様は是非ご検討下さい。

こんなこともしています。

以前にメッキに出した際に少し違った仕様の物が欲しくて、こんなマウスピースも作りました。
Bachの5Gをサテンシルバーにしています。(ちなみにこのマウスピースはソッコーで売れてしまいました。)

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ちなみに下の物は筆者の私物でBuzzのリガチャーなのですが、そろそろ10年(!)も使っていて表面がくたびれてきたのでピンクサテンゴールドにしました。気分も音も一新!音の立ち上がりも早くなったように感じます。
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こうしたサテン仕上げの仕様は2週間ほどお預かりできれば作ることができます。
そのほかにもグリーンゴールド、シャンパンゴールド、プラチナなどもできますが、納期はタイミングにもよりますが1か月近くかかることもあります。
ミラー(鏡面)仕上げでシルバー、ピンクゴールド、24Kゴールドなどは1週間ほどでできますので、小物の仕上げを変えてみたい、今あるものを生かして音のグレードアップを図りたいという方は、ぜひお持ちください。

サックスのネック、ファゴットのボーカル、金管楽器のメッキなども致します。

オーボエオーバーホール 完成

いよいよキイにタンポやキイコルクなどを取り付けて、各部の調整を施し、オーボエのオーバーホールが全て完了しました。こうしたオーバーホールをする場合、交換するタンポに負担がかからないようにするためにキイに修正を施すのですが、ここが調整の一番のキモになります。
オーバーホールなどの場合、実際の作業の時間はタンポ交換に費やす部分というのはさほど多くはありません。(というと少し語弊があるか?)しかしそれをするとしないとでは後々の調整の持ちに差が出てきますし、また新品の楽器の状態で前述の調整がされていることはほとんどないように感じられます。
そのために、タンポ交換をする際には、単純に消耗部品を入れ替えるだけでは真のいい状態にはなかなかならないということを、ここをご覧になっている方にご理解頂きたいと思います。

さて、前置きが長くなりましたが、完成した写真をご覧いただきましょう。こちら↓
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少し伝わりにくいですが、低音側のパッドは革製のものを使用しています。↑


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以前の記事でも書きましたが、ポストはピンクゴールドメッキを採用しています。
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また筆者の手が映ってしまいました。スマホのカメラを使っています。
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せっかくなのでケースも新しくしました。まるで新品みたいです。
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すでにお客さんのところには納品済みですが、大変喜んで頂けました。
こうした作業はクラリネットでも同様のことができます(もちろん他の木管楽器でも)ので、そろそろしっかりした修理をしたいとお考えの方は、ぜひ当工房までご相談ください。

オーボエオーバーホール その4

キイとポストが、メッキ屋さんから戻ってきました。
キイはシルバーに、ポストはピンクゴールドに仕上げております。
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キイもメッキがかかるとまるで新品のようです。溶けてガサガサになっていたりしたキイたちも綺麗に再生されました。


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ポストのピンクゴールドをアップで見ます

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このポストをピンクゴールドにするということは、見た目の高級感ももちろんですが、後々発生してくるサビの発生を軽減し、耐久性を上げる意味合いもあります。(金なので腐食に強い)
木管楽器のオーバーホールをお考えの方は特にお勧めしたい部分です。もちろんキイ全ての金メッキも可能です。
予算が許せばそちらのほうがよりお勧めです。

次にポストを管体に仮組みしてみました。ピンクと管体の黒が、いいコントラストです。
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ベルだけはキイも組んでみました。最終の仕上がりイメージが何となくつかめますでしょうか?
(キイに指が映り込みました。失礼! m--m)

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ここからいよいよタンポとバネの取り付け、調整に入っていきます。このように時間も手間も金額も(!?)かかっていますが、オーバーホールが高いということの意味がここまで見て頂いた方々にはご理解いただけたかと思います。しかし新たに買い替えることを考えれば、はるかに安上がりですし、音が出にくいのは、楽器個体の当たりはずれよりも調整による部分や故障が原因ということがほとんどです。
また、オーバーホールによって通常にはない仕様の楽器を作ることも、ご覧のとおり可能ですので、古くなって買い替えをお考えの方は、選択肢の一つとしてオーバーホールということもアリではないでしょうか?

さて、次回は組み立てて最終の仕上げです。組み上げた仕上がりの形をご覧いただきます。またご興味がありましたらご覧ください。

フルート中古再生

今日は中古販売をするためにフルートの再生修理を始めました。
機種はムラマツのEXです。
頭部管のみ銀製のモデルですが、管体は洋白製銀メッキ仕上げで、軽やかな吹奏感の中にも華やかさを感じられるモデルです。初めてご自分の楽器を持ちたいとお考えの方には、とてもお勧めできる楽器です。
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ぱっと見はきれいですが、アップで見ると
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キイロッドやキイポストの頭が結構黒ずんでいます。また、分解してみると
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キイの影などに汚れや黒ずみが多く発生しています。まずはこれらのキイのタンポも外し、主列キイの連絡部分をロックしているピンまで外し、すべてバラバラの状態にします。
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このような姿になってから各部分のキイや管体などをバフという機械で磨いていきます。こうすることで細かい傷が滑らかになって、全体が輝き始めます。
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また、この時点で特に傷が大きかったところなどは、傷修正をしてメッキをやり直します。
磨きあげたらこんな感じに生まれ変わりました。
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管体も磨きあがり顔の映り込みもはっきりしています。少し写真が遠いですが、伝わりますでしょうか??
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今日の作業はここまでです。メッキついでで、一部のパーツを仕様変更することにしました。その様子はまたこのブログでお知らせします。

ちなみに、このフルートは完成したら販売いたします!この先のブログでも紹介していきますが、タンポも特別仕様の物に変更します。そうすることでタッチ感が良好になり、後々の変化も少なくなります。またこの作業の続きを見たい方は後程アップしていきますので、またご覧ください。

オーボエオーバーホール その3

キイの加工と磨きを施しました。全体の写真です。
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アップでご覧いただきましょう こちら↓
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リングの溶けた部分を、金属を盛って補修しています ↑
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こちらもガサガサ状態のキイを加工して磨いております ↑
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溶けてボコボコのキイでした。面が復活しています。 ↑

以前の記事でも書きましたが、メッキはただかければきれいになるというものではありません。
面をきれいに整えてその上でメッキをかけることで、メッキの密着も良く仕上がりも綺麗になります。
また、面を出すのもただ削るだけではゴツゴツした面になるので、様々なディスクと研磨剤を使い分け、仕上がりを予測しながら形を整えていく必要があります。これは経験と勘を必要とする作業ですが、当工房の得意とする分野でもあります。

本日メッキ屋さんへとキイとポストたちが旅立ちました。今回のメッキにはオーボエのキイ以外にも一緒に出荷している品々があります。それについてはまた後日記事を載せていこうと思います。

また、木部の欠けの部分も修正ができました。
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欠けている木を埋めて補修しています。この写真で伝わるでしょうか???

またこの修理の様子はメッキが帰ってきてからお知らせいたします。 

オーボエオーバーホール その2

再メッキをするキイの磨きと成形の前処理として、メッキの剥離をしていました。
これからキイの成形と磨きに入るのですが、ここからが大変な作業です。
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写真では分かりにくいですが、これでキイが生地の状態になっています。
ここからキイを磨いて仕上げていくのですが、メッキというものはただかければきれいになるというものではありません。下地の状態が悪ければ、その状態がモロに浮き出てきてしまいます。そのため下地をきれいに成形したり、鏡面に加工をしなければいけません。
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ここから欠けているところや溶けた部分を修正していきます。
今後どのように変化したか、このブログでまたお知らせいたします。興味のあるかたはまたご覧ください。

オーボエオーバーホール

この度、とある団体様からオーボエの修理品をお預かりしました。
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写真を拡大すると、キイの表面などがかなり溶けてしまっています。
古い楽器ではこうした症状はよくあります。
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まずは全て分解して、メッキの下処理から始めます。キイとポストを外すと、こんな姿になりました。
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また、ベルの端も欠けてしまっているので、こちらも修正していきます。
こんな感じに欠けています。
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こうした木部の欠けも補修していきます。

キイの下処理と木部の欠けの補修の様子は、またこちらでお知らせいたします。
次回の記事をご興味のある方は是非ご覧ください。

オープン!!

今年10月にオープンしました、秋田市の管楽器修理工房Klangのブログにようこそ!
これから少しづつ作業風景等をアップしていきます。興味のある方は、ぜひお問い合わせください。
プロフィール

klangbrass

Author:klangbrass
管楽器専門店・修理工房Klangへようこそ!
当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
金管・木管問わず修理を受け付けていますのでご連絡ください。
打楽器修理(ティンパニ修理等)も致しております。

HPアドレスhttps://www.klangbrass.net
下記のリンクの欄からご覧ください。
工房の場所や情報、また中古楽器情報も掲載しています。

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