クラリネット中古再生 その1
皆様、約一週間のご無沙汰です。
普段の業務のほかに、今回初めての確定申告と青色申告の決算書作成に追われ、やはりこのようなペースでのアップになってしまっています。
ブログのネタはあるのですが、整理して作るのがなかなか大変なので、時々は見てやってください。
フェイスブックをやっていらっしゃる方はアップする度にお知らせしているので、その時にでも見て頂ければと思います。
そんなわけで、今回の記事はクラリネットの中古楽器再生です。
以前の記事にも書きましたが、ただ今作業中の楽器があるので、その内容を少し詳細にご紹介したいと思います。
そうすることで、当工房での中古楽器がどのような手順で作り直されているかがわかるので、ご購入の際に安心感が得られる一つの材料になるかもしれません。
中古の再生とは、それぞれの工房でその意味する内容は異なるかと思いますが、特に当工房ではピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエなどのメッキ再生などが得意であり(もちろんバスクラ、ファゴットなども)、そうしたキイや木部のメンテナンスを最大限にやり直すことで新品と見紛うような状態に仕上げることを意味します。
ある意味使用するパッドのグレードを変更したり、メッキも古い年代のものから信頼性の高い日本の工場のメッキを施すことで、新品の時以上の楽器の性能を引き出すことが可能となるので、建築でいうところのリフォームの感じに近いとも言えるかと思います。
今回の楽器はフランスのノブレ製B♭クラリネット45Mです。もうなくなってしまったブランドですが、素晴らしい個体と出会いました。ボロいタンポの状態にもかかわらず、とにかく音の密度が濃いのです。これは仕上がった時の音が期待できます。
手元に届いたときは、こんな状態でした。

まずは全て分解してポストも外し、完全に素っ裸の状態にして管体の洗浄をして、音孔の汚れなども全て取り去ります。これで、管体の状態を一旦リセットして、オイル処理などを施します。これだけでも見違えるような綺麗さになります。

しかし見事な木目です。古い楽器ではありますが、この頃は今よりも良質な材がメーカーで入手しやすかったのでしょうか?よほどの高級品でなければ、現代の楽器ではこのくらいの物は拝見することはなかなかありません。
音孔の立ち上がり方もきれいです。音孔がきれいなのは、そのままパッドの密着にも影響します。
この写真で伝わるでしょうか??

続いてキイ表面のざらついていたメッキを剥離します。ここで分かったのが、キイの下地に分厚い銅(コパー)メッキがついていたことです。もしかしたらこのメッキがあの音の密度に一役買っていたのでないかと想像されます。これにさらにシルバーメッキがのるわけで、かなり音の方も期待が持てます。
ここから磨いてツルピカの状態にします。

そしてメッキが戻ってきました。以前オーボエ修理の記事でも書いたことですが、メッキというものはただかければ綺麗になるというものではなく、メッキをかける表面がよほどきれいな状態になっていないと、下地の粗さがはっきりと浮き出てしまい、もっとひどいとメッキの密着が悪くなり、メッキの浮きや剥がれの原因となってしまいます。もっとも技術が要求される作業でもあります。
今回はキイはシルバープレート、ポスト・リング・サムホール・レジスター音孔などはピンクゴールドプレートという仕様にしました。
補足で説明すると、ポスト類をゴールドにするということは、ネジ類のサビの発生を軽減するという効果もあります。金は変化しにくい特性があるからです。
もちろん見た目に高級感が出るということもありますが(^^)

ポストを取り付けていきます。

ところで、このシステムは技術屋として感心したのですが、ポストをねじ込んで入れるとバネの力でポストが動いてしまうことがあるのですが、この楽器はこうしたことが発生しやすい部分に、回り止めのロックがかかるようにパーツが構成されています。

こんな感じです。伝わりますか? とても凝った仕掛けです。

ポストが立ち終わりました。とても楽器らしくなってきています。


リング類も取り付けて、ジョイントコルクを巻きました。今回の作業はここまでです。次回のアップでは完成した姿をお見せすることができます。
ちなみにこの楽器は販売致します。中古販売価格なんと¥198,450(税込)です。キイは信頼の日本製メッキで仕上げているので、この先数十年の使用に十分耐えてくれることでしょう。完成したらこのブログと当工房ホームページhttp://klangbrass.com/でお知らせいたしますので、ぜひご覧ください。
普段の業務のほかに、今回初めての確定申告と青色申告の決算書作成に追われ、やはりこのようなペースでのアップになってしまっています。
ブログのネタはあるのですが、整理して作るのがなかなか大変なので、時々は見てやってください。
フェイスブックをやっていらっしゃる方はアップする度にお知らせしているので、その時にでも見て頂ければと思います。
そんなわけで、今回の記事はクラリネットの中古楽器再生です。
以前の記事にも書きましたが、ただ今作業中の楽器があるので、その内容を少し詳細にご紹介したいと思います。
そうすることで、当工房での中古楽器がどのような手順で作り直されているかがわかるので、ご購入の際に安心感が得られる一つの材料になるかもしれません。
中古の再生とは、それぞれの工房でその意味する内容は異なるかと思いますが、特に当工房ではピッコロ、フルート、クラリネット、オーボエなどのメッキ再生などが得意であり(もちろんバスクラ、ファゴットなども)、そうしたキイや木部のメンテナンスを最大限にやり直すことで新品と見紛うような状態に仕上げることを意味します。
ある意味使用するパッドのグレードを変更したり、メッキも古い年代のものから信頼性の高い日本の工場のメッキを施すことで、新品の時以上の楽器の性能を引き出すことが可能となるので、建築でいうところのリフォームの感じに近いとも言えるかと思います。
今回の楽器はフランスのノブレ製B♭クラリネット45Mです。もうなくなってしまったブランドですが、素晴らしい個体と出会いました。ボロいタンポの状態にもかかわらず、とにかく音の密度が濃いのです。これは仕上がった時の音が期待できます。
手元に届いたときは、こんな状態でした。

まずは全て分解してポストも外し、完全に素っ裸の状態にして管体の洗浄をして、音孔の汚れなども全て取り去ります。これで、管体の状態を一旦リセットして、オイル処理などを施します。これだけでも見違えるような綺麗さになります。

しかし見事な木目です。古い楽器ではありますが、この頃は今よりも良質な材がメーカーで入手しやすかったのでしょうか?よほどの高級品でなければ、現代の楽器ではこのくらいの物は拝見することはなかなかありません。
音孔の立ち上がり方もきれいです。音孔がきれいなのは、そのままパッドの密着にも影響します。
この写真で伝わるでしょうか??

続いてキイ表面のざらついていたメッキを剥離します。ここで分かったのが、キイの下地に分厚い銅(コパー)メッキがついていたことです。もしかしたらこのメッキがあの音の密度に一役買っていたのでないかと想像されます。これにさらにシルバーメッキがのるわけで、かなり音の方も期待が持てます。
ここから磨いてツルピカの状態にします。

そしてメッキが戻ってきました。以前オーボエ修理の記事でも書いたことですが、メッキというものはただかければ綺麗になるというものではなく、メッキをかける表面がよほどきれいな状態になっていないと、下地の粗さがはっきりと浮き出てしまい、もっとひどいとメッキの密着が悪くなり、メッキの浮きや剥がれの原因となってしまいます。もっとも技術が要求される作業でもあります。
今回はキイはシルバープレート、ポスト・リング・サムホール・レジスター音孔などはピンクゴールドプレートという仕様にしました。
補足で説明すると、ポスト類をゴールドにするということは、ネジ類のサビの発生を軽減するという効果もあります。金は変化しにくい特性があるからです。
もちろん見た目に高級感が出るということもありますが(^^)

ポストを取り付けていきます。

ところで、このシステムは技術屋として感心したのですが、ポストをねじ込んで入れるとバネの力でポストが動いてしまうことがあるのですが、この楽器はこうしたことが発生しやすい部分に、回り止めのロックがかかるようにパーツが構成されています。

こんな感じです。伝わりますか? とても凝った仕掛けです。

ポストが立ち終わりました。とても楽器らしくなってきています。


リング類も取り付けて、ジョイントコルクを巻きました。今回の作業はここまでです。次回のアップでは完成した姿をお見せすることができます。
ちなみにこの楽器は販売致します。中古販売価格なんと¥198,450(税込)です。キイは信頼の日本製メッキで仕上げているので、この先数十年の使用に十分耐えてくれることでしょう。完成したらこのブログと当工房ホームページhttp://klangbrass.com/でお知らせいたしますので、ぜひご覧ください。
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