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意外と重症(汗) その2 完成

前回からの記事の続きです。
こうした曲りやヘコが発生した楽器の場合、曲がる前のキイの位置や、音孔の状態など、複合的に変化した状態を元の形を想像しながら、その形状に復元させていきます。ここで判断を誤ると一巻の終わりとなるので、慎重に曲りを修正していきます。
それと同時にポスト下のヘコも修正していきます。ヘコの状態を確認する上でポストを外す必要があるので、こちらも溶接を外してヘコの修正をしていきます。
少しづつ形状が復元されていってるのが下の写真で確認できます。

NEC_0133.jpg

先ほどの作業をしながらキイの曲りとポストの位置関係を、管体の曲りを修正しながら探っていきます。ピッタリの位置に管体の反りが修正されると、キイがストンと動くようになり、同時にポストとの位置関係が修正されます。
このあたりの修理をする際には、自分の頭の中で3Dのようにサックスがクルクル回転して、反りを修正する方向を見つけていっている感じがします。
言葉でうまく言えませんが、ポストの正確な位置を見つけ出すのが一番大変な作業のように感じています。

NEC_0134.jpg

そしていよいよキイの動きがストレスフリーになったら、キイとポストの関係は修正できました。これで音孔も完全に直ったように一見すると見えますが、いったん変化した音孔は微妙なストレスが残留したままとなっています。
下の写真でストレスが残っていた音孔を完全なフラットに修正し、外していたポストも取り付けました。
ちなみに音孔は新品の状態でもしっかりフラットな状態の楽器というのはほとんどないので、この段階では修理をしたおかげで、音孔の状態は新品よりクオリティの高い状態になっています。

NEC_0135.jpg

こうしてやっと正常な位置に管の曲り、キイのポスト位置、音孔の状態が回復(改善)されました。キイを外した状態だと管体の曲りが、キレイに真っ直ぐになったのが確認しやすいと思います。

NEC_0136.jpg

ここで初めて必要なタンポの交換をして、各部のバランスをとりなおして完成です。ネックコルクも新たに交換してリフレッシュされました。
前の記事の頭の写真と比べて頂くと、修理前と修理後の管の曲がり具合の違いがはっきりと解ります。

NEC_0137.jpg

サックスの管体は、落下や倒れなどで様々な症状が複合的に発生いたします。楽器を落としたりして、もう直らないと断られた方もいらっしゃるかもしれません。
でもご覧のように管の曲りや音孔のつぶれも修理は可能です。修理をあきらめずにこのような症状になってしまったときは当工房にご相談ください。
最大限の努力で症状の改善に努めさせていただきます。
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Author:klangbrass
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当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
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