これは無理!? いえいえ、このバスクラ、直るんです。
久々のバスクラ修理ネタ、しかも昭和のバスクラです。
機種はセルマー 25 LowC
とある学校の備品として、これでも修理前ギリギリまで現役で(!)活躍していた楽器です。
とんでもなくやつれてしまっており、写真で(o'ω'o)?と思われた方もいらっしゃるかと思います。
左手指が当たる部分、これ、金属が完全に溶けて下地を通り越し、タンポまで到達してしまっております。
こうなったらどんなに劣化したタンポでも、交換はできません。
普通だったら楽器屋さんに持ち込んでも「無理です。買い換えましょう(・∀・)ニヤニヤ」となるはずです。
うちも販売しているんで、買い替えを勧めるのは簡単です。
しかし、これと同等の楽器を買うとなったら、今はむちゃくちゃ高いです。https://www.nonaka.com/selmer/instruments/clarinet/bass_clarinet/privilege/
新品で税込だと¥1,600,000超え!
ムリです。今どきの学校にそんなもの買い換えられる余裕はありません。
ならどうするか?
直すんです。
経験と 勘と ひらめきで。
修理代の確保と修理期間を潤沢に頂くことが出来たので、全体のオーバーホールを兼ねて、いろいろ修正させて頂くことと相成りました。


まずはタンポ類を一通り外し、溶けてなくなった指台を、キレイに削って落としてしまいます。
「なんてことするんだ(# ゚Д゚)」と怒られそうですが、まあ落ち着いて。
アイデアがあるんです。ちゃんと。


まずは旋盤で失われた煙突と指台を作ります。
こんな感じかな?

そして、仮に組んでみてフィット感を確認。
多少スキマがあるところもありますが、そこは今はあまり気にしません。

そして部品の完成です。
これを銀ロウで溶接します。
さっきスキマをあまり気にしないと言ったのは、実は溶接の際にスキマ部分を銀が埋めてくれるからなんです。

そしてほかの穴あきのキイも同様に指台を製作します。
これを磨いて仕上げ、メッキに出して戻ってくると…

ホラ!こんな風にキレイに直りました。
この頃のメッキと同じニッケルメッキを採用しております。
そこだけ異常にキレイです。
予算の関係で全部メッキとまではいけなかったのですが、主要なとこだけでも直せば全然機能は取り戻せます。

途中のオーバーホール作業は写真をすっ飛ばしております。
だって特別なことはしていないんですもの。
キイカップの傾きを合わせ、タンポを入れて、しっかりと平面に合わせ、バランスを取る。
適切なキイコルクを選択して均一な開きを得る。
地味ですが、一番大事な部分。
それが調整というものなんです。
作業にハデさがないので、理解されにくいところです。(´・_・`)
さて、組んだ写真を見て頂くと、どのように直ったか一目瞭然です。


下管も部分補修をしております。
こちらはキイのパイプに穴が開いてたので、そこを金属をかぶせて補修してます。
そうそう、ネックもだいぶ痛んでたんです。
ジョイント部分もネックコルクがグラつかなくなるような加工をして、耐久性を上げました。
そしてキイ同様ニッケルメッキをして、感覚的には新品です。

というわけで、今回はセルマーバスクラのキイ再生を中心とした、オーバーホールの様子をご覧頂きました。
修理の期間と、ある程度の予算は必要ですが、楽器価格が爆上がりしている昨今、こうして今ある資産を活用していくということも必要なことではないかと思います。
特に学校等の団体様は、是非再生修理ということも視野に入れて楽器店、または当方までお問合せ下さい。
ただ、当方このところ、こういった再生修理の依頼が後から後からつかえております。
ワンオペ修理のツライところですが、納期さえ頂けるなら喜んでお受けいたしますので、是非御一考を。
最後に宣伝です。
ツイッターとフェイスブックのフォローもお願いします。
また、Yahoo!ショッピング ブラスショップKlangにて、修理屋視点で取り揃えた商材も様々ご用意しておりますので、是非一度覗いてください。
ではまた。
機種はセルマー 25 LowC
とある学校の備品として、これでも修理前ギリギリまで現役で(!)活躍していた楽器です。
とんでもなくやつれてしまっており、写真で(o'ω'o)?と思われた方もいらっしゃるかと思います。
左手指が当たる部分、これ、金属が完全に溶けて下地を通り越し、タンポまで到達してしまっております。
こうなったらどんなに劣化したタンポでも、交換はできません。
普通だったら楽器屋さんに持ち込んでも「無理です。買い換えましょう(・∀・)ニヤニヤ」となるはずです。
うちも販売しているんで、買い替えを勧めるのは簡単です。
しかし、これと同等の楽器を買うとなったら、今はむちゃくちゃ高いです。https://www.nonaka.com/selmer/instruments/clarinet/bass_clarinet/privilege/
新品で税込だと¥1,600,000超え!
ムリです。今どきの学校にそんなもの買い換えられる余裕はありません。
ならどうするか?
直すんです。
経験と 勘と ひらめきで。
修理代の確保と修理期間を潤沢に頂くことが出来たので、全体のオーバーホールを兼ねて、いろいろ修正させて頂くことと相成りました。


まずはタンポ類を一通り外し、溶けてなくなった指台を、キレイに削って落としてしまいます。
「なんてことするんだ(# ゚Д゚)」と怒られそうですが、まあ落ち着いて。
アイデアがあるんです。ちゃんと。


まずは旋盤で失われた煙突と指台を作ります。
こんな感じかな?

そして、仮に組んでみてフィット感を確認。
多少スキマがあるところもありますが、そこは今はあまり気にしません。

そして部品の完成です。
これを銀ロウで溶接します。
さっきスキマをあまり気にしないと言ったのは、実は溶接の際にスキマ部分を銀が埋めてくれるからなんです。

そしてほかの穴あきのキイも同様に指台を製作します。
これを磨いて仕上げ、メッキに出して戻ってくると…

ホラ!こんな風にキレイに直りました。
この頃のメッキと同じニッケルメッキを採用しております。
そこだけ異常にキレイです。
予算の関係で全部メッキとまではいけなかったのですが、主要なとこだけでも直せば全然機能は取り戻せます。

途中のオーバーホール作業は写真をすっ飛ばしております。
だって特別なことはしていないんですもの。
キイカップの傾きを合わせ、タンポを入れて、しっかりと平面に合わせ、バランスを取る。
適切なキイコルクを選択して均一な開きを得る。
地味ですが、一番大事な部分。
それが調整というものなんです。
作業にハデさがないので、理解されにくいところです。(´・_・`)
さて、組んだ写真を見て頂くと、どのように直ったか一目瞭然です。


下管も部分補修をしております。
こちらはキイのパイプに穴が開いてたので、そこを金属をかぶせて補修してます。
そうそう、ネックもだいぶ痛んでたんです。
ジョイント部分もネックコルクがグラつかなくなるような加工をして、耐久性を上げました。
そしてキイ同様ニッケルメッキをして、感覚的には新品です。

というわけで、今回はセルマーバスクラのキイ再生を中心とした、オーバーホールの様子をご覧頂きました。
修理の期間と、ある程度の予算は必要ですが、楽器価格が爆上がりしている昨今、こうして今ある資産を活用していくということも必要なことではないかと思います。
特に学校等の団体様は、是非再生修理ということも視野に入れて楽器店、または当方までお問合せ下さい。
ただ、当方このところ、こういった再生修理の依頼が後から後からつかえております。
ワンオペ修理のツライところですが、納期さえ頂けるなら喜んでお受けいたしますので、是非御一考を。
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ではまた。
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