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アルトサックスオーバーホール ~ヤマハ82Zを強化せよ~

今回のネタは、結構前にやった仕事ですが、いろいろやっていたので、内容として面白いかもしれません。
宜しければ、最後までお付き合いくださいm(_ _)m

この楽器はヤマハの82Z。発売以来好評の楽器で、全国的にも大変流通量の多い楽器です。
御依頼の方は学生の時にバリバリ吹奏楽・マーチングで使用されていて、しかもほとんど修理らしい修理をしたことが無かったとのことでした。
なんせ使われ方がハードなため、消耗部品の劣化がかなり激しく、今回オーバーホールという運びとなりました。

折角なんで、オーバーホールの追加オーダーで、
① タンポをプラ反射板から、メタル反射板に変更
② ベル~本体継ぎ目のハンダ付け
③ ネックのヘコ修正をして、プラチナプレート仕様に変更
を頂きました。

オリジナリティあふれる仕様になります。
それでは作業をご紹介いたします。


まずは分解です。
ここで修正が必要な個所などが、発見されることもあります。
20150120_113332.jpg

ネジ類も全て外してクリーニングします。
真っ黒なネジも、キレイサッパリ、リフレッシュです。古い油を落とすことは、
車のエンジンオイルのフラッシングみたいなものです。\_( ゚ロ゚)ここ重要!
20150120_152644.jpg

さて、ベル接合部ですが、、、、
20150120_114934.jpg
20150120_115050.jpg
パカッと外すと、接着剤がコッテリとついています。
漏れが無ければそれでもいいのですが、ハンダで接合することで、振動のロスが無くなり、確実に楽器の響きが底上げされます。
後程ここはハンダで修正します。


次はタンポを外して、キイの洗浄と管体の洗浄です。
後程メタルの反射板のタンポをインストールしていきます。
20150120_152708.jpg

接着剤を取って、ハンダでベルの継ぎ目を接合しました。
これで漏れが無くなって音のつながりが大幅に向上します。
20150120_181155.jpg

後はタンポを組んでバランス調整をしていきます。
さて、バランス調整ということを聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、何をするかというと、

1・タンポの隙間が無くなるように調整
2・連動しているキイの、タンポを閉じるタイミングが同時になるよう調整
3・キイの開き具合が適正になるように調整

大雑把にいうとこんなことをすることを指します。
実際はもっと細かいこともたくさんしていますが、こんな感じと思って下さい。

光を入れて、タンポの隙間を確認し、
20150124_144554.jpg
20150124_144647.jpg
軽く閉じたときに、音孔全面にタンポが密着しているのを確認します。
これを全てのタンポで何度も確認します。

こんな作業と並行しながら、ネックのヘコ修正と表面の傷修正をして、メッキをオーダー通りにプラチナにしました。
当工房ではとても人気のあるプラチナメッキですが、とても音響的な効果が大きく、今まで何本も施工させてもらっています。
20150130_172148.jpg

完成した姿です。
色のコントラストも良いですね。 Σd(゚∀゚d)イカス!
20150130_172354.jpg
タンポの仕様も変更され、別物のようなパワフルな響きの楽器になりました。
こうした修理だったのでかなり高額なものになりましたが、こうした大仕事をお任せいただけたことに、
ただただ♪感謝☆(人゚∀゚*)☆感謝♪です。

また、記事を作っていきますので、是非ご覧ください。
また、自分の楽器をこんな風にしたいなどの希望をお持ちの方、是非お問い合わせください。

では、 ヾ(o'д'o)マ!!ヾ(o'ω'o)タ!!ヾ(o'∀'o)ネ!!
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クラング 春の復活祭り ~パーツがなくても諦めるな!~

少し前の仕事ですが、ここでご紹介いたします。

このチューバ、某吹奏楽名門高校の備品のミラフォンですが、この写真のように指掛けがなく、
演奏上大変不便な状態になっておりました。
おそらく、パーツが無いため、修理をあきらめてしまっていたのでないかと拝察いたします。

そのほかにベルがまっすぐ立たない、写真にあるように2nd抜差しのフックもない、ロータリーが全部動かない、
などなどの理由で、ずっと使われずに楽器倉庫に鎮座しておりました。

今回思い切って復活させることになり、その作業を当方にお任せ頂くことになりました。
作業のハイライトの、指掛け復活作戦をご覧いただきたいと思います。


まずはハンダ付されている台座をひっぺがして、同じ形に成形します。
ちょうどよく洋白(銅+ニッケルの合金 ¥500玉の材料)の板があったので、同じように作れます。
20150327_110918.jpg
しかし思い切りよく壊れていました。指掛けのベースが根元からボッキリ折れて無くなっています。
パーツが無いので、作るしかありません(*´-д-)フゥ-3

そんなわけで、金属棒を削って、整形します。
20150327_113711.jpg

穴掘ってネジ切って、ロウ付けしてベース完成です。それっぽくなってきましたよ(d゚ω゚d)♪
20150327_154853.jpg

リングつけるとこんな感じです↓ ここで台座のRを管体のRと合わせて整形します
20150327_155113.jpg

あとは管体に戻してハンダ付けして、出来上がりです★(o゚∀`从'∀゚o)★
最初の写真で無くなっていた、2nd抜差しのリングも交換して復活です。
20150330_115003.jpg
これでこの楽器も、現場復帰ができるようになりました。

輸入楽器は場所によっては、部品調達が困難なことはままあります。
でも、当方修理屋なので、できることは可能な限りやってみます。
今回のようなことがあったとしても、写真の通りちゃんと直ります。
諦めずにまずはお問い合わせください。

ではまた(^^)/~~~
プロフィール

klangbrass

Author:klangbrass
管楽器専門店・修理工房Klangへようこそ!
当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
金管・木管問わず修理を受け付けていますのでご連絡ください。
打楽器修理(ティンパニ修理等)も致しております。

HPアドレスhttps://www.klangbrass.net
下記のリンクの欄からご覧ください。
工房の場所や情報、また中古楽器情報も掲載しています。

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