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バラバラ分解修理 & 管体洗浄

時折ふらっと当工房に修理を持ち込まれるお客さんがいらっしゃるのですが、今回いらしたのは約10年ぶりに再会した、旧知の友人でした。
わざわざ横手市(60Km位離れている)から地図をたよりに来てくれました。
こうしたお客さんはとてもありがたく、ついつい昔話に花が咲きました。

ところで楽器の症状なのですが、ハンダの剥がれが数か所あったところを長年ほっておいたら、どんどんハンダ剥がれが連鎖してきて、持っているだけでグラグラ、管が外れて息もスカスカになってしまったそうです。

もともと¥100万くらいする高級品だったので、しっかりここで一発修理をして、吹奏楽コンクールの本番に臨みたいとのご希望でした。
それなので今回は、
・ブラブラの箇所を徹底分解して、綺麗にハンダ修正する
・ロータリーの動きも修正する
・管の内面も徹底洗浄する
という内容で、修理をお受けいたしました。

まずはハンダ剥がれの箇所のクリーニングをするために、患部の最深部まで分解するのですが、ほんの数か所ハンダを分解しただけで、ここまでバラバラになりました↑
これでは演奏自体がかなり困難だったことがうかがえます。まずは剥がれていた部分の古いハンダを徹底除去します。



そのついでに、ロータリーも分解して調整の下準備をするのですが、長年の汚れ・サビがびっしりとついていました。これもしっかりと洗浄して、汚れとサビを落としていきます。
NEC_0397.jpg


さて、分解してわかったことですが、パイプ同士の連結の台座がこのようにぱっくりと割れていました。
さすがにこうなってしまうと、ここのパーツはもう使えないので、台座を作り直すことにしました。
NEC_0398.jpg

元の台座の形に金属板を切って、パイプの形状に合わせて成形し、ストレスなく組み直せるように台座同士をいい角度で固定し、銀で溶接します。これで台座の強度が確保できました。
NEC_0399.jpg

管体に作ったパーツを組んで、台座とパイプをハンダで接合します。
もともとのパーツと比べても違いが分からなくなりました。
なにより、これなら持ってもブラブラしません(´ー`)
NEC_0400.jpg

そんなこんなで、一通り組み直しました。ここでロータリーを調整して管体の洗浄をします。内面の汚れも薬品洗いで゚+。(о'∀')bスッキリ!です。
NEC_0402.jpg

ロータリーのバンパーゴムも全て新調しました。これを見ると細かい部分のホコリや油汚れも取れて、とても綺麗になったことがよく解ります。
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ここの”くの字”のパイプが外れていたために、息がダダ漏れしていました。ここを修正することが、バラバラにした一番大きな目的です。
しっかりとハンダ接合して、もう漏れません(d゚ω゚d)
NEC_0404.jpg

これで完成です。ロータリーも静かで軽やかです。
NEC_0405.jpg
ハンダ剥がれは初期のうちに対処をすれば、被害の拡散を防ぐことができます。
また、あまり知られていないことですが、ハンダが外れると管体の響きが落ちます。

管楽器というものは、発音した際に管全体が振動するのですが、ハンダが取れたところは振動がうまく伝わらなかったっり、振動の伝達がそこで途切れたりしてしまいます。

ホルンはハンダ接合部が多いので、こうした影響は他の楽器以上に顕著に表れます。

ぜひ一か所だけだからと我慢をせずに、早めの対処をお勧め致します。
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ティンパニオーバーホール ~パール編~

お久しぶりです。
やっとブログも更新しています。学校などの団体様は吹奏楽コンクールシーズンとなり、朝早くから夜遅くまで練習に励まれていることと思います。
当方も団体様からお呼びを頂いて、修理のお仕事の依頼が続けて入ってきております。有難いことです。

そんな中で、今回はティンパニの修理をご紹介いたします。当方は管楽器修理の工房ですが、打楽器の修理経験も豊富で、特にアクションの機構が複雑なティンパニの修理は今まで何台も手掛けて参りました。

よくある症状として、
・叩いているとチューニングが上がる(または下がる)
・ペダルが重い
・チューニングがよく狂う
・ペダルを踏むとギチギチ、パリパリなどの音がする

等の症状があります。
楽器の限界などと思われていたり、またはそのように言われてきたことが多いのではないでしょうか?

こうした症状は、きちんと調整すれば大幅に改善します。
特にペダルのアクションとチューニングの乱高下はピタリと直ります。
どんなことをしているか、ここでお知らせしていきたいと思います。

このティンパニは、叩くたびチューニングが狂い、ヘッドも何年も交換をしていないという状態でした。
ペダルは踏むと妙な重さがあってなかなかの状態です。



まずはヘッドを外して、ベース部分の分解です。
ホコリにまみれた部分を修正していきます。
NEC_0379.jpg

次はペダルです。古いグリスが固くなって悪さをしています。
ここも分解してクリーニングをして、新たなグリスを入れます。
NEC_0380.jpg

ここがペダルティンパニの心臓部、バランススプリングです。
ところで、ここでペダルティンパニの機構について、少しお話をしておきます。
ペダルのバランスは、ヘッドの張りの強さと、バネの引っ張りの強さが均等になったとき、綱引きをしたようになって静止します。
つまり、ペダルを踏んでチューニングが上がるとヘッドのテンション(張りの強さ)が上がることになるので、
それに準じてバランススプリングも強く引っ張って綱引きをします。

こんなイメージですが伝わりますか?

叩いていてチューニングが変化するということは、綱引きをしているヘッド側とバネ側で、どちらかの引きが負けてしまっている状態なのです。
ティンパニの調整とは、この綱引きの均衡を取らせる作業なのです。

話が長くなりました。次に行きます。
NEC_0382.jpg

チューニングボルトのハウス部分です。ここもホコリ、グリス切れなどで動きが鈍いです。
上の写真がビフォー、下がアフターです。動きが軽快になりました。
NEC_0383.jpg
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続いて、テンションロッドのホルダーです。ここも分解の上で新しいグリスに入れ替えます。
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チューニングインジケーターのハウス内もクリーニングします。
ここのホコリが原因で、針が動きにくくなることもあるのです。
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ヘッドを貼る前に大事な工程で、ヘッドが擦れて変化するエッジ部分に、テフロン加工されたすべりのいいテープを貼っていきます。これによってエッジ面が均等になり、ヘッドが動くときのストレス軽減になります。
テープの値段が高いですが、これはヘッド交換においてとても大事な作業です。
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ここまでやって、ようやくヘッドを新しいものに交換です。
今回は本革に近い風合いの、ルネッサンスヘッドを採用しました。落ち着いたいいトーンです。
NEC_0391.jpg

このような修理は、一台につき半日、4台で丸2日の時間を要します。
時間もお金もかかりますが、劇的な効果が現れますので、長年ほったらかしにしてしまったなと感じていらっしゃる団体様には、お勧め致します。

ちなみにこの修理はさすがにお預かりが困難なので、出張にて対応致します。修理にあたっては事前にパーツなどの確認が必要なため、見積もりが必要になる場合があります。

ご依頼のには遠方の方にも対応致しますので、ティンパニの修理でお困りの方は、ご一報ください。

プロフィール

klangbrass

Author:klangbrass
管楽器修理工房Klangへようこそ!
当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
金管・木管問わず修理を受け付けていますのでご連絡ください。
打楽器修理(ティンパニ修理等)も致しております。

HPアドレスhttps://www.klangbrass.net
下記のリンクの欄からご覧ください。
工房の場所や情報、また中古楽器情報も掲載しています。

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