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アルトクラ フルオーバーホール その2

いつもご覧いただいている皆様、毎度のことながらアップをサボってすいません(;´・ω・)

その後の作業もある程度進んでいて、写真もたまってきているので、記事を作ります。

当工房は、やっていることは他の修理屋さんと大きく変わらないと思うのですが、他のお店が時間がかかってあまりやらないことを請け負っているためか、大きな修理がこの4月・5月と集中して入ってきております。
特に木管の修理が多く(ほとんどが全タンポ交換クラス)、今日現在でもクラリネット、T・Sax、フルート、ファゴットなどの全タンポクラスの修理を複数本抱えている状態です。(もちろんそれ以外の金管修理もあります。)

そのため、この記事に書いているアルトクラオーバーホールも、他の修理と並行しながら少しずつ進めたり状況でまとめて進めたりしながらやっています。仕上がりが遅くなっていることに、依頼を頂いているお客様からご理解をいただいていることにひたすら感謝したいと思います。

そんなわけで、前回の続きです。
前回メッキの剥離作業ができて、生地の状態になってきていたキイ類ですが、ここからキイの再生作業にかかっていきます。
下のような回転する布でキイを下磨きするのですが、その前段階としてキイのブツブツやガサガサ(表現力が乏しくてスイマセン(;´・ω・`)ゞ)を削り落としていきます。
写真はないのですが、キイの形状を損ねないようにしつつ、粗い面を整えていき、下磨きでおおよその形にします。


下磨き完了です。元の形からどう変わったかは、前の記事を参考にしてください。
元はブツブツのガサガサでした。
NEC_0333.jpg

2個並んだキイを見て、左側は「メッキ上がりか」と思った方、違います。
メッキ前の仕上げ磨き上がりの状態です!
右のキイの状態から、左の状態まで磨き上げて、初めてメッキをかけられるようになるのです。
キイやポスト等数えてみたら、100個を超える(!)数の部品点数がありました。
その一つ一つを上記のような仕上げにしなくてはいけないのです。
オーバーホールはなぜ高額なのか、ちょっとご理解頂けたのでないかと思います。
NEC_0334.jpg


そんなことをやっていって、メッキ屋さんからキイや部品が戻ってきました。
何度やっても、このメッキ戻りの姿を見るのは気持ちの良いものです d(゚∀゚d)
NEC_0336.jpg

今回ネック部分はピンクゴールドにしました。
マウスピースの振動をはじめに受ける部分だけに、この仕様は効果がありそうです。
NEC_0340.jpg

ベルはそこそこ状態が良かったため(キズはいっぱいありましたが)、メッキ剥離をしていないのですが、裏を返せば、シルバーメッキの厚みは2倍です!
ベルは楽器のスピーカーみたいなモンなので、これもまたプレートの効果が出やすい部分です。
NEC_0341.jpg

次回の記事ではメッキ上がりのキイやベルについて、写真とともに苦労した点などを説明していきたいと思います。
ちなみにこの楽器の組みあがりはもう少し先になります。重ね重ねご依頼のお客様には当方へのご理解に、ひたすら感謝を申し上げる次第です。

それではまた。 (´Д`)o尸
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アルトクラ フルオーバーホール その1

ゴールデンウィーク、皆様いかがお過ごしでしょうか?
当工房も世間一般の流れに沿って休日を頂いております。
おかげさまで修理の方はかなり込んできておりますが、パーツの手配やメッキなどをする際に、関連の問屋さんやメッキ工場などもお休みをしているため、ジタバタせずに心身のリフレッシュをしておりました。

ところで、4月の中頃とある団体様から、アルトクラオーバーホールを承りました。
以前の記事で何度かしていたメッキ再生オーバーホールを、この楽器にもしていく運びとなったのです。

状態はなかなかです。やりごたえがありそうです。
NEC_0291.jpg

パーツの状態をアップで撮ってみました。↓
NEC_02982.jpg
NEC_0292.jpg
NEC_02942.jpg
上三つが下管の写真です。メッキはげが甚だしく、紙のようにペリペリ取れてきます。もうメッキの密着も弱いです。こうなったらそのままメッキをしても無意味です。


NEC_02992.jpg
NEC_03002.jpg
そして上管です。
こちらも指の掛かるところを中心にメッキ剥がれやピンホールが大量発生しています。


NEC_03012.jpg
NEC_03022.jpg
ベルとネックです。少しヘコがあったり、傷が入っていたりします。
これも今回の修理で修正して行きます。


NEC_03032.jpg
NEC_03052.jpg
また、上下管連絡部のキイに、このようなヒビが発生していたりします。もちろん溶接の再施工が必要となります。

ところで、こうしたオーバーホールをする際には、文章にしても理解されにくい地味な作業が初めに必要となります。楽器の各部を細かく観察して、不良部分を一つ一つ修正するのです。
具体例の一部を挙げると、
・バネ穴位置不良の修正(おそらく生産時点でのもの)
・前に修理を手掛けた修理屋さんが、サビたキイのネジを外そうとしてキイの形が変わってしまった部分の再生
・キイのガタつきが発生している部分の管の継ぎ足し
・ドライバーでこじられて穴が広がったキイポストの穴修正

などなど、いろんなところで修理をされてきた楽器というものは、それぞれの修理屋さんのアプローチで様々な状態になります。当方でオーバーホールをする際は、一度そうした状態を正常な状態にリセットし直すことが必要となります。楽器としての機能に係わる部分なので、全く目立たないですが、とても大事な作業です。

NEC_0308.jpg
NEC_0311.jpg
上記のような作業を先に施してから、機能を失ったメッキを外注で剥離しました。
しかし、メッキ屋さんが込み合っているらしく、帰って来るまで2週間程を要しました。

今回の記事ではここまでです。次ではメッキ前の下処理などを記事にしていこうと考えています。
ではまた。(´Д`)o尸
プロフィール

klangbrass

Author:klangbrass
管楽器専門店・修理工房Klangへようこそ!
当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
金管・木管問わず修理を受け付けていますのでご連絡ください。
打楽器修理(ティンパニ修理等)も致しております。

HPアドレスhttps://www.klangbrass.net
下記のリンクの欄からご覧ください。
工房の場所や情報、また中古楽器情報も掲載しています。

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