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久々の大物 ファゴットメッキオーバーホール

役1年ぶりのご無沙汰です。

修理ネタのストックはあったのですが、相変わらず更新が遅くて、こんなことになってしまっております。

けっこう前にやっていながら、こうしてブログにあげることがなかなかできずにおりましたが、やっとこうして皆様にご紹介出来ます。

ということで、今回のご依頼は、ファゴットのメッキオーバーホールです。

当店では、というか他店様でもあまり多くはない修理の事例かと思います。

今回のコンディションは全体にメッキがくすんできて、これから各部がメッキの浮きが出てくるのでないかという絶妙のメッキ修理のタイミングです。
このくらいで修理をすると大変キレイに仕上げられます。

まずはビフォーの状態をご覧ください。
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いかがでしょう?

あまり状態は見えないかと思いますが、タンポもそこそこ劣化してます。

実はファゴットって、サックスやクラとは違って、ダブルジョイント(右手で操作する一番下のデカい管ね)のところ以外は、あまりタンポが痛むことが無いので、ホントにタンポが終わるまで交換されないことが多いです。

実際は弾力が無くなってて音孔塞げてないことが多いんですけどね。

まずはバラしてキイポストも全部外して、素っ裸にします。

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この状態にすると、とっても管体のメンテナンスがやりやすくなります。

ホコリや汚れを落としてサッパリした仕上がりにします。

その際に使用しているのがKlangマルチクリーナーです。
リードのクリーニングにも効果は絶大です。
(文字クリックで販売ページにジャンプします)


そして、今回は全体の下磨きにバレル研磨をしました。研磨メディアがいい仕事をしてくれて、手の届きにくいところの磨きや、弱ったメッキなどを事前にある程度キレイにしてくれます。

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上の写真までがバレル研磨での上がりです。
下に敷いたタオルのクマちゃんとウサギちゃんカワイイ💛

まだ表面は荒磨きでザラザラした状態なので、ここからは手仕上での磨きに入ります。ひたすら地味に1個1個のキイを鏡面に磨いていきます。




そしてメッキが上がるとこうなります。

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キレイになりましたでしょ?

ここからは普通のオーバーホールです。ポストを組んで、バネを入れて、タンポも入れてコルクも貼って・・・

ん-、紹介する作業がない(笑)普通過ぎて。



ということで仕上がりの写真です。

じっくりとご覧ください。

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いかがでしょう?

メッキが新しくなると、なんか音まで新鮮で立ち上がりのいい感じになっていて、宜しいですね。

もちろん修理のレベルで追い込んでタンポをつけたり合わせていったりしているのもかなり功を奏しております。

これなら楽器がしっかり鳴ってくれるので、リード選びにかけていた苦労がウソのように楽になります(当社比)



なかなかファゴットって長期で預けたりする機会がなくて、マトモなリペアをしたことがないって方は多いかもしれません。

でも、一度しっかりいい状態を作ることは、ある意味で楽器を買い直すより効果はあります。

円安でなかなか楽器を買い替えたりすることが大変な昨今、こうした資産をうまく整えなおしていくことも、今後の情勢においては大事なことではないでしょうか?

特に学校などの団体様などには使っていない期間にこうした修理をすることを強くお勧めします。

まあ、それが大変なことも理解できますけどね(^ω^)


ということで、今回はファゴットメッキオーバーホールの記事をお届けしました。

次の記事はアレにしようか、コレにしようか。

また次回をお楽しみに。

では(@^^)/~~~


あ、ご依頼はTwitterのDM、またはFacebookのメッセンジャー、あるいはklangbrass@gmail.comまでお願いします。
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プロジェクトKlang ファゴットポッキリを解決せよ!!   ~その時修理屋が動いた~

もうこの修理は夏のおもひでなのですが、関東に雪が降るのでないかという、今頃記事のアップになってしましました。

相変わらず仕事が遅くてすいません(;´・ω・)

さて、今回のミッションは、ファゴットのテナージョイントのポッキリ修正です。
皆さんから見たら、「接着剤で固めたら、それでイケんじゃね(o'ω'o)?」と思われがちですが、
折れた部分は補強しないとまたすぐ折れてしまうし、折れた断面を見て頂くとわかる通り、
中に防水のためのパイプが入っているのもなかなか曲者です。(。-`ω´-)ンー

それでは、プロジェクトの内容を、順を追って説明します。
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まずは、水を吸いすぎてボロボロになってしまったパイプ外側を綺麗にするため、ボロボロ部分を除去していきます。
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ジョイントの残った木部をノミなどで綺麗に除去して、さらにカッターでキワの部分を掘り進めます。
これは、あとで大きな意味を持ちます。
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さらにボロボロ部分を手削りと機械削りで綺麗にしていきます。
病巣部を残してはいけません。(・∀・)ウン!!
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続いては、インナーパイプの補強材料に使う真鍮材をピッタリの寸法に削っていきます。
案外これは時間のかかる作業です。
削って計測、削って計測。。。。(*´-д-)フゥ-3
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ボロボロ木部を取り去った、綺麗になったインナーパイプを接着です。
今回の折れた断面は綺麗に折れていたので、折れた欠片が無くなっている等の事案でなかったのが、せめてもの救いでした。
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そして、3枚目の写真でカッターで掘っていたことが、ようやく意味を持ちます(∩´∀`)∩♪
出来上がった真鍮補強パイプを折れていたインナー樹脂パイプの外側にインサーーーーート!!!
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打ち込んで絶対外れてこないように、はめ込みます。
この時点で、折れたパイプは全くグラつかなくなりました。(d゚ω゚d)オゥイェー♪
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それだけではなくて、外側の木部の方も、新たに作ってあげないといけません。
メイプルの丸材をまた加工していきます。
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糸を巻く部分を削って、、、
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穴を掘って、、、、
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中ぐりをして真鍮パイプの外径とメイプル煙突の内径をピッタリに仕上げます。
失敗したら最初から削り直しになってしまうので、慎重に。。。。
削って計測、削って計測。。。。
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はめ込んで接着!

出来たー! キタ━━━(゚∀゚)━━━!!

良く見て頂くと3層構造になっています。
おわかりいただけただろうか。。。。

ちなみに、この部分水に晒されてしまうので、真鍮材のフタが必要なので、、、、
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このように作ります。
20160727_162540.jpg

そしてこのようにはめ込みます。
もちろん、ここのフタまで含めた状態でのジョイント寸法に仕上げるため、
最初にあらゆる部分を計測しておくのは、言うまでもありません。
どれか一つでも寸法を間違ったり計測のズレがあると、全てが台無しになってしまいます。
20160727_170353.jpg

そうそう、忘れちゃいけない音孔穴あけ。
真鍮パイプを突っ込んでいるので、この音孔くらいまで補強パイプが入っています。
これをわすれると、いくらキイを押しても音が変わりません ヘ(゚∀゚ヘ)アヒャ
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ようやく、それらしくなってきました。
寸法きっちり仕上げているので、この段階でもジョイントが気持ちいいくらいです。
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あとは糸を巻いて、ジョイントの硬さを確かめながら仕上げです。
グラつきの少ない、極めて良好なジョイント具合です。
ようやく完成しました! (o'д')ノ☆゚*。Congratu★lations。*゚☆ヽ('д'o)

出来上がってホッとしたら、急に疲れてきたのを覚えています。
20160727_174257.jpg

うちの地区ではファゴットを吹いている人口そのものが少ないので、当然修理そのものの数も少な目です。
でも、修理が来るときはほとんど重傷なことが多いように思います。
(過去の記事もご覧くださいm(_ _)m)

これは修理そのものが後回しにされてきたツケと、きちんとしたメンテナンス方法を知らされずに使われ続けてきたことによる、
相乗的な悲劇のように感じます。
是非吹奏楽指導をされていらっしゃる方々には、もう少しダブルリード楽器へのご理解を頂ければと願います。

また、折れてしまって使えないと倉庫の奥にしまわれているファゴットも、このように直ります。
是非修理代は多少高めですが、復活させて下さい。買うよりは全然安いです(´▽`*)


また、今回この修理をするにあたり、多大な修理に対するヒントを頂き、また材料提供までしていただいた、小松市の修理工房のOKB53(仮)様、また、こちらも多くのヒントを頂いた、新大阪のHRD様、
この場を借りて、厚く厚く御礼を申し上げます。  お二人のおかげで、また1歩成長させて頂きました。

それでは、年内にもまた何回か記事を作って、
Klangの店主は遊んでいないぞ、ということを皆様にお知らせしたいと思います。



ではまた(^^)/~~~

取り扱いにはお気をつけて。。。  ―ファゴット音孔再生―

前回アルトクラのオーバーホールをアップしましたが、そちらと並行してこんな修理もしていました。

今回はファゴットの修理ですが、これから紹介する内容は、学校の備品ではとてもよく見受けられる症状です。

ファゴットは構造的にウォーターキイなどを持たず、ダブルジョイントの下部に水が溜まりやすいのですが、正確な取り扱いの方法を習った生徒が少なく、水抜きをほとんどしないまましまっていて、木が水を吸って腐食してしまい音孔の形状が著しく変形しています。
今回の修理でも、長年かけてこのような状態になってしまったのでしょう。こうなると楽器店さんからは修理を断られるケースが多いかと思います。

修理屋さんとしてはほっとけない状態なので、この音孔再生をしていきます。今回はこれをメインにご紹介していきます。
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写真がちょっとわかりづらいのですが、音孔が欠けていて音孔内面もカビで黒々としております。
すこし木をドライバーなどでツンツンしたら木がボロボロと崩れてしまいます。



まずは、この音孔が腐ってしまっているところを全て削り落とし、硬い正常な木部が出るまで削っていきます。
虫歯治療の歯医者さんのように、病巣部を取り除いていきます。
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腐った部分は取り除かれ、病巣部は綺麗になりました。


ここからいろいろなことをして、エボナイト(木管のマウスピースなどに使われる材質)のパイプを自作して、音孔に埋め込み、音孔の形状と一体化するように成形していきます。
具体的な方法は公表しませんが、音孔の角度や高さ、形の作り方はなかなか技術を要します。
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このような修理方法を今回は取りましたが、このようにエボナイトのパイプを埋め込むことにより、今後の音孔のトラブルはほぼ無くなります。


タンポを取り付けて合わせました。
音孔の形状がきれいなので、ものすごくタンポが良く密着します。
NEC_0373.jpg
今回の修理ではダブルジョイントのタンポは全部、その他のタンポもところどころ交換しました。


ところでファゴットのジョイント部分に糸を巻いているものにもコルクグリスをつけていることがありますが、糸を巻いている部分はコルクグリス厳禁です!
ファゴットジョイントは糸を巻いている場合はジョイントのきつさを糸の増減で調整していて、そこにグリスをつけると糸が早々に劣化してしまいます。
今回の修理ではジョイント糸も全て交換しました。
NEC_0367.jpg


そのほか、ブーツのパッキン部分の漏れが大きく、そこの修正にも少々手間取りましたがこれがしっかりすると音の鳴りが大きく向上します。
そんなこともしながら、各部のサビ落とし・細かなところの汚れも全て分解した際に修正して、組み上げました。古い楽器でもとても気持ちよくなります。

NEC_0372.jpg

組み上げて試奏をして完成です。今までとは比べられないほど大きな音が出ます。鳴ります(d゚ω゚d)

ファゴットは買うと金額も大きく、なかなか団体様では古い備品に困っておられることも多いかと思われます。
しかしながら、このように音孔にトラブルが発生していても対処の方法はございます。

しかも修理には技術者の経験と慣れも必要な部分が多いので、このようなダブルリード系の修理でお困りの方はご一報いただければと思います。

もっとファゴットは使えるものになるはずです。


それでは。(´Д`)o尸

入荷してます。

ちょっと珍しいパーツが入ってきました。ドイツのヘッケル社の純正パッドです。
皮の質がしなやかで、なかなか良さそうです。
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このヘッケルというメーカーは、世に流通しているファゴットのキイシステムの原型となったメーカーで、ファゴットメーカーの中でも最高峰のブランドとして世界的にも有名です。制作の際には細かく仕様をオーダーして製作するそうで、それだけに楽器の値段もなかなかご立派です。(新車の高級車1台分くらい?)
なかなか楽器そのものをお持ちの方は少ないですが、実はパーツはドイツ製の楽器ではほとんど同じサイズが採用されているため、他社の修理にも使えます。
今回ファゴット修理が入ってきたので、このタンポを採用して修理していこうと思っています。
また面白いパーツが入荷したら、ここで紹介していこうと考えています。
またよろしかったらご覧ください。
プロフィール

klangbrass

Author:klangbrass
管楽器専門店・修理工房Klangへようこそ!
当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
金管・木管問わず修理を受け付けていますのでご連絡ください。
打楽器修理(ティンパニ修理等)も致しております。

HPアドレスhttps://www.klangbrass.net
下記のリンクの欄からご覧ください。
工房の場所や情報、また中古楽器情報も掲載しています。

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