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これは無理!? いえいえ、このバスクラ、直るんです。 

久々のバスクラ修理ネタ、しかも昭和のバスクラです。

機種はセルマー 25 LowC

とある学校の備品として、これでも修理前ギリギリまで現役で(!)活躍していた楽器です。
とんでもなくやつれてしまっており、写真で(o'ω'o)?と思われた方もいらっしゃるかと思います。
 
左手指が当たる部分、これ、金属が完全に溶けて下地を通り越し、タンポまで到達してしまっております。

こうなったらどんなに劣化したタンポでも、交換はできません。
普通だったら楽器屋さんに持ち込んでも「無理です。買い換えましょう(・∀・)ニヤニヤ」となるはずです。

うちも販売しているんで、買い替えを勧めるのは簡単です。
しかし、これと同等の楽器を買うとなったら、今はむちゃくちゃ高いです。https://www.nonaka.com/selmer/instruments/clarinet/bass_clarinet/privilege/
新品で税込だと¥1,600,000超え!

ムリです。今どきの学校にそんなもの買い換えられる余裕はありません。

ならどうするか?

直すんです。

経験と 勘と ひらめきで。

修理代の確保と修理期間を潤沢に頂くことが出来たので、全体のオーバーホールを兼ねて、いろいろ修正させて頂くことと相成りました。

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まずはタンポ類を一通り外し、溶けてなくなった指台を、キレイに削って落としてしまいます。
「なんてことするんだ(# ゚Д゚)」と怒られそうですが、まあ落ち着いて。
アイデアがあるんです。ちゃんと。


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まずは旋盤で失われた煙突と指台を作ります。
こんな感じかな?

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そして、仮に組んでみてフィット感を確認。
多少スキマがあるところもありますが、そこは今はあまり気にしません。


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そして部品の完成です。
これを銀ロウで溶接します。

さっきスキマをあまり気にしないと言ったのは、実は溶接の際にスキマ部分を銀が埋めてくれるからなんです。

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そしてほかの穴あきのキイも同様に指台を製作します。
これを磨いて仕上げ、メッキに出して戻ってくると…

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ホラ!こんな風にキレイに直りました。
この頃のメッキと同じニッケルメッキを採用しております。

そこだけ異常にキレイです。
予算の関係で全部メッキとまではいけなかったのですが、主要なとこだけでも直せば全然機能は取り戻せます。

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途中のオーバーホール作業は写真をすっ飛ばしております。
だって特別なことはしていないんですもの。

キイカップの傾きを合わせ、タンポを入れて、しっかりと平面に合わせ、バランスを取る。
適切なキイコルクを選択して均一な開きを得る。

地味ですが、一番大事な部分。
それが調整というものなんです。
作業にハデさがないので、理解されにくいところです。(´・_・`)

さて、組んだ写真を見て頂くと、どのように直ったか一目瞭然です。


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下管も部分補修をしております。
こちらはキイのパイプに穴が開いてたので、そこを金属をかぶせて補修してます。


そうそう、ネックもだいぶ痛んでたんです。
ジョイント部分もネックコルクがグラつかなくなるような加工をして、耐久性を上げました。
そしてキイ同様ニッケルメッキをして、感覚的には新品です。

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というわけで、今回はセルマーバスクラのキイ再生を中心とした、オーバーホールの様子をご覧頂きました。

修理の期間と、ある程度の予算は必要ですが、楽器価格が爆上がりしている昨今、こうして今ある資産を活用していくということも必要なことではないかと思います。

特に学校等の団体様は、是非再生修理ということも視野に入れて楽器店、または当方までお問合せ下さい。

ただ、当方このところ、こういった再生修理の依頼が後から後からつかえております。
ワンオペ修理のツライところですが、納期さえ頂けるなら喜んでお受けいたしますので、是非御一考を。



最後に宣伝です。

ツイッターフェイスブックのフォローもお願いします。
また、Yahoo!ショッピング ブラスショップKlangにて、修理屋視点で取り揃えた商材も様々ご用意しておりますので、是非一度覗いてください。


ではまた。



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クラリネット フルGPコンビ魔改造  色のクセが凄いwww

今回はちゃんと早めに更新しましたよ。

とは言っても、この楽器を引き渡したのは去年だったような。。。

まあ、いいか。

そんなことで今回は、とあるお得意様の楽器を手掛けさせていただいた記録をご紹介します。
このお方、とてもおキレイなおネエさまで、「私の楽器、ピンクにしたいわぁ❤」といつもおっしゃっておりました。

修理らしい修理もずっとしたことが無かったので、ここで一発しっかりと直しておこう、となって、今回念願の仕様にするべくお預けいただくこととなりました。

しかしもともとのコンディションがなかなか攻撃力高いです(。-`ω´-)ンー
これはなかなかの強敵ですねー。
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結構至る所がガサガサです。
磨きの修正をするべく、ポストも全て外し、タンポ、コルク、バネを全て外します。


この状態から、キイは磨きへ、木部は汚れ落としとメンテナンスを施します。
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そして、磨きをするんですが、、、、、










作業中の写真を撮ってなかった。。。。。







まあ、いいか。
磨きは過去の記事をご参考下さい。m(_ _)m









ってことで磨き終わって、一気にメッキまで完了しました。
しかし、色が特徴的(^▽^*)
おネエさまがやっぱり2トーンカラーにしたいとのワガママご希望がありまして、ポスト・リングはグリーンゴールド、キイはピンクゴールドというオンリーワンな仕様となりました。
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いよいよ組み込みです。
ポストいれて、バネいれて、、、、
管体もオイルメンテが終わってツヤツヤお肌です。
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タンポは最近当店では人気のあるレザーパッド仕様に変更しました。
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ε-d(-∀-` )フィ~
やっと完成です。

見違えるようにキレイになりました。
どうぞご覧ください( ´∀`)つ
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この機会にケースの方も新調して頂きました。
オサレカワイイ、クランポンのポシェットケースです。
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こうして楽器は持ち主のところへとお直しを終えて帰っていきました。
モデルさんのようなルックスのおネエさまに大変お似合いの楽器に生まれ変わったと思います。

今後もメンテナンスなどでよろしくお付き合い願えればと存じます。



当方修理だけでなく、販売もしておりますので、ケースなどのご相談も是非お寄せ下さい。
修理の際にケースも改めると、気分は新品購入!


かもしれません。



ではまた(@^^)/~~~

クラリネットあれこれ  学校備品によくある症状 その楽器諦めないで!

新年あけてまだ記事が更新できておりませんでしたが、過去にやった修理で、写真だけとっていて未使用のものって結構あるんです。
今回はそんな写真たちを思い出して、こんな記事を作ってみました。

クラリネットの管体加工 3連発です。





まず1発目。

管体割れ修理なんですが、Bトリル音孔が目も当てられないほど割れ広がって、もうタンポが音孔をふさぐことができなくなってしまっている事案です。
こうなってはタンポ交換なんて無意味なんで、まずは音孔の作り直しから。
ダメ音孔を掘り進めていって、新たな音孔を作っておきます。



そして音孔を仮組。
(・∀・)ウン!! 良い感じです。
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そしたら接着して、音孔の穴の大きさも既定の大きさに広げて仕上げをしたら完成です。
こうすることで息モレも発生せず、キモチのいい塞がり具合になってくれました。
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続いての事案。
ジョイントコルクの上下管の繋ぎ目が、何度コルク交換をしてもグラついてしまうという案件です。

よくコルクが緩いんですぅ、と言ってもちこまれますが、使い込まれた楽器だとジョイント部分の木部が減ってしまっていて、コルクが無いと大幅にガタついている状態であり、コルクそのものがきつくてもグラつくものは多々あります。
または、ジョイント部の木部が膨れてジョイントが外せなくなった時に、ジョイント木部を削りすぎてしまった結果こうなった、などのパターンもあります。(やりすぎ修理の末の姿ですね。・゚・(ノД`)・゚・。)

いずれ、コルクを交換しても、症状は改善しないんで、ジョイントを作り直してしまいます。

まずはスカスカジョイントを削ってしまって、上にピッタリはまる筒を作ります。
当方には管体材と同じ、グラナディラの材料を在庫しておりますので、こういうものも作れます。
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仮組です。
いい寸法に仕上がりました。
ピッチリ入ります。
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んで、接着したら、コルクしろを削って溝切をして、整えます。
この時点で上下組んでもほとんどグラつきません。
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端面も綺麗に仕上げます。
良い感じです。
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これにて完成。
ジョイントした際にグラつきが発生しにくくなるように、コルクしろをもとの状態よりもキモチ広めに作ってあります。
コルク巻いた後の写真は撮り忘れました。(o゚ω゚)チーン
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最後の事案は上管人差し指のリング部の煙突が思いっ切り欠けております。
ギリギリ音は出ていたのでしょうが、もうすぐダメになるのは目に見えています。

やっぱり作り直します。
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まずは穴掘って、古い煙突を削ってしまいます。
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ほんで、作っておいた新しい煙突を入れてみます。
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仮組バッチリですね。
接着します。
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音孔の大きさ整えて、完成です。
リングを合わせてみた感じも、とてもよろしいです。
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当方だけでなく、いろんな修理工房で、こうした加工はされていると思います。
腕のいい修理屋さんは名前を知られていないだけで、全国に沢山いらっしゃいます。
(店構えが大きいところ=いい修理屋というわけではありません。店が大きくていい修理屋も沢山ありますが。)

なので、上記で出ていた症状があったとき、安易に買い替えを考えられるのでなく、修理というアプローチも是非お考え下さい。
(もちろんそれをきっかけに上位機種に買い替えを検討されている場合は別の話ですが。)




今は少なくなったでしょうが、昔は壊れるとすぐに新しい楽器に買い替えを勧める楽器屋さんもいらしたようです。
当方も新品・中古と販売はしていますし、新しい楽器を売りたいのもわかります。
でも「直らない」ということと、「直せない」ということはイコールではありません。


直らないといわれた場合には、一度言葉を受けておいて、他にもご相談してみることをお勧めしておきます。
決定権はお金を出す方にありますので(´▽`*)






そんなことで、今回は修理のチョイネタを集めて記事を作ってみました。

いかがでしたでしょうか?

ご感想はコメント欄や、フェイスブックページなどにでもいただけると嬉しいです。


ではまた(*´∀`*)ノ″バイバイ


こんなオサレなクラリネットは如何でしょう(o'ω'o)? ~大人のシャンパンゴールド編~

皆様、新年度を迎え、いかがお過ごしでしょうか?
Klangも皆様から支えられ、5年目の春を迎えております。

最近ブログの更新もめっきり減ってしまい、「ホントにここは仕事してんのか( ゚Д゚)ゴルァ!!」とのご批判もありそうですが、
ちゃんと仕事はしています。ただ、ご報告が遅いだけです_| ̄|○

そんなわけで、こちらの仕事も随分前のお仕事ですが、春らしく景気の良い記事にしたくて、こちらの修理を記事にすることにしました。

楽器はクランポンE13。
お客様が学生の頃に買っていただいた思い入れのある品で、これからも大事に使っていきたいと、メッキ再施工の依頼を受けました。
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近くに寄った写真だと、そこそこ各部にメッキの疲れが見えます。
ただ、ひどくくたびれる前に持ってきていただいたので、金属の加工は大幅にしなくても大丈夫そうです。
どんな仕様にするか、当方にある中古マウスピースのメッキを参考に、いろいろと検討した結果、お客様が一番気に入られたのが『シャンパンゴールド』です。

どんな色かは後で記事に写真で出てきますが、写真でもなかなか伝わりにくい色です。
言葉で説明が難しいですが、
・24Kゴールドよりも淡い色
・遠目では主張が少な目の色
・でも近くで見ると、(*'∀'人)ワォ☆シャレオツー!

白のスパークリングワインに似た色からこういう名称で呼ばれていますが、とにかく大人の色香漂う逸品です。

そんなわけで、お話もまとまり、有難く仕事を進める運びと相成りました。

早速分解です。
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分解が終わったら、下地をしっかりと作るため、くたびれているメッキを剥離します。
剥離から帰ってきた姿です。
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一個一個丁寧に磨き上げをしていきます。
金属の形状修正が必要な場合、そちらもしていきます。
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こうしてキイの下地作りが出来たら、初めてメッキに出します。

これも何度か記事の中で書いていますが、汚い状態でもメッキを掛ければ綺麗になると勘違いされている方時々もいらっしゃるので、説明致しますが、メッキを掛ける上で一番大事になるのが、この下地作りです。
荒れてボコボコになった下地のままメッキを掛ければ、そのままボコボコが浮き上がって目も当てられません。

実際今でも気をつけて下地を作ってメッキに出しても、下地の不良がメッキが終わって帰ってくると露わになって目だってしまい、もう一度下地を作って再メッキということが稀にあります。

メッキも化粧と一緒で、下地のお肌が綺麗でないとノリが良くありません。
なので、一番時間をかけるのも、この作業なのです。


こうしてメッキが帰ってきました。
美しい(*´Д`)/ヽァ/ヽァ・・
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そうそう、管体木部も、汚れなどを全て取り除いてキレイにリセットします。

この際に使うのが、当方で開発したKlangマルチクリーナーです。

音孔などにこびりついた汚れが、しっかりと簡単に除去できるため、大変重宝します。
参考動画はこちら

但し、管体全部に使った場合は、管体の油分などが落ちてしまうので、入念にオイル処理をします。(管体外・中ともに)
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さあ、全ての下処理がおわったら、いよいよ組み上げです。
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ポストも一個一個元通りに組んで、バネも新しいものに変えていきます。
ここからは、普通のオーバーホールです。
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さあ、完成しました。
写真をご覧ください。
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どうですか?このシャレオツな色味!

写真だけでお伝えできないことがたくさんありますが、実物はもっとキレイに妖しく奏者を魅了します。

この写真をお見せして、他のプレイヤー様からも、同じ仕様にしてほしいと、ご依頼を頂きました。
有難いことです。。・゚・(ノД`)・゚・。

今回クラリネットでの施工でしたが、オーボエキイ、サックスネックなどでも、同様の施工が可能です。
他の奏者と違った、一歩先行く仕様にしたいという方、是非Klangまでご依頼ください。

皆様からのご依頼お待ちしております。


ではまた(^^)/~~~

寒い季節は要注意!! 音孔割れのお話∑(゚ω゚ノ)ノ

皆様、いつもご覧いただき、ありがとうございます。

北国秋田も、朝晩1桁台の気温で、冬も近づいてきております。
ところで、寒い季節になると、良く発生してくる修理が、クラリネットの管体割れ修理であります。
これがよく音孔にかかって割れているとこが多く、ほとんどの場合上管トリルキイ上から2つが、その犠牲となっております。

ここの割れがあまりにも大きくなりすぎると、音孔の形状が変形してしまい、タンポを新しく交換しても、まったく穴を塞げない事態になってしまいます。
こうなったら、音孔の歪んだ形をした部分が無くなるまで削って、新しく作った音孔の立ち上げ部分を接着します。
まずは、専用のドリルでガッと削ります。
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これで音孔の形状は変形した部分は無くなりました。
何が大変って、まっすぐ削るのが意外と難しいんですよ、これが。(*´-д-)フゥ-3

そして、新たに作っていた音孔の立ち上げを用意して、


削ったところにキュっと嵌めて接着します。
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嵌めてしばらくしたら、接着剤などをキレイに処理して、もう一度仕上げて完成です。


アップの写真です↓
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あまり違和感なく仕上がりました。
これで音孔としての役割を取り戻し、タンポも綺麗にセットできるようになり、モレも無くなりました(´▽`*)
これでもう、多い日も安心(?)です。


新しく作る音孔は樹脂製のものが加工しやすく便利なので、採用しております。
当然ながら、もう音孔そのものが割れる心配はありません。

こんな感じで音孔の再生は可能なのですが、やはり割れを発生させないことが大事です。
急激な温度変化を極力避けて、少しずつ管体を環境に馴らしていきましょう。
また、音孔に溜った水分は、確実に取り除いていきましょう。\_( ゚ロ゚)ここ重要!

木製の楽器は上手に取り扱っていけば、何十年ももちます。
また、割れやすい・割れにくいに、楽器の値段の差はない(高級だから割れにくいなんてことは無い!!)ので、
こまめなケアをしてあげましょうね(・∀・)

ではまた(^^)/~~~


B♭クラリネット中古リメイク品のご紹介

皆様、新年明けましておめでとうございます♪(o´∀`b)b♪

当工房におきましても、開業から3度目の正月を迎えております。
皆様の支えにより、こうして仕事を続けられております。本年も、どうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m

さて、今回のブログは修理品ではなく、中古楽器のご紹介です。
当工房では、中古の販売・買取もしておりますが、特に中古を販売する際には、
そのままで販売するということは、ほぼありません。

よくある中古の楽器に対しての不安というものは、
・買ったのにすぐ壊れたらヤだな
・買ったものが本当にいいものだったかどうか、買った自分に自信が持てない
・何か不具合が出ても、修理などの面倒を見てもらえないのでないか

などなど、様々なことが考えられます。
安く買うということに、どうしてもリスクを感じてしまうのは楽器というものの特殊性も、
関係しているものと思われます。

なので、当工房では、中古で仕入れた楽器に、必ず即戦力として使えるようにオーバーホールを施し、
物によっては新品では絶対手に入らない、特別なチューンをして、新品を超えるクオリティの物に作り替える、
ということをやったりしています。
また、中古では珍しい、保証もついております。
これを当工房では、中古リメイク品と名付けております。(英語としては間違っているかもしれませんが、カタカナなんで再生して作った、と理解してください)

今回紹介するB♭クラリネットは、まさにそうした特別チューンを施した1品です。
新品では、この仕様のこの機種は手に入りませんので、良い物を安く買いたい、他で手に入らないものが欲しい、
とお考えの方には、大変お買い得です。この記事を読んでご興味をお持ちになられた方は、
当方までお問い合わせください。

機種はヤマハカスタム AEというもので、ヤマハがカスタムクラリネットを4機種作った時代に、その中の最高機種として存在していたモデルです。
今はそのモデルはラインから無くなってしまいましたが、重厚な吹奏感と響きは、他の機種と大きく違う魅力を持っています。
では作っていく工程をご紹介いたします。


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まず本体をキイ、キイポスト、またリングも外して音孔、管体などを綺麗に洗浄します。
洗浄したら、管体から失われた油分を補給し、塗装も補修します。
ちなみに、今回紹介しているヤマハの管体のほかに、クランポンのR13の管体も写っておりますが、こちらは早々に予約が入ってもう売れております。


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作業中の写真を撮っておらず、だいぶ途中経過をはしょってしまいましたが、もうメッキから戻ってきて、
キイの仮組みをしております。
今回のキイとキイポスト、リングは、全てピンクゴールドで仕上げております。


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もう完成してしまいました(;´・ω・) 近くで写すとこんな感じです。
とても新品感が出ていて、中古の楽器だとは思えません。


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タンポは最初からレザーパッドを採用しております。
タンポの音孔への食いつきも良く、またスキンタンポに比べて、大幅に寿命が長いのも長所の一つです。


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全体の写真はこんな感じです。写真よりは実物の方が綺麗です。
ご来店可能な方は、ぜひ実物を見て頂きたいです。


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また、この楽器には新品のケースカバーもお付けいたします。
手にした時から、気持ちよくご使用いただけます。

このクラリネットの気になる価格ですが、¥298,800(税抜)です。
フルピンクの新品、しかもレザーパッドの物は、(というより手に入るものは)なかなかないと思います。
この楽器には、中古の1年保証もついておりますので、調整に関しては当工房までお持ちいただければ、
ご安心してご利用いただけます。
このフルピンククラリネット、ある意味中古だからこそ作ることができた1本だと思います。
そんなことで、皆様からのお問い合わせ、お待ちしております。

ではまた(^^)/~~~

いよいよ大物 バスクラオーバーホール その3 完成編イェ──ヽ( ゚Д゚)人(゚Д゚ )ノ──ィ

いよいよバスクラオーバーホール完成です。
さすがにLowCバスクラは完成までだいぶ時間がかかりましたが、出来上がった時の達成感も、それはそれはひとしおでございます。

それでは、コメント少なめ、写真は多めで、参ります。
まずは、ネックとベルからです。
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つづいて下管側です。
長いキイが多くて大変だったことをよく覚えています。
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下管の写真の黒いブロックは、長いキイのブレ止めです。
最新のLowCバスクラには標準で採用されていますが、この楽器の当時にはなかったものです。
今回のオーバーホールではついでに採用しております。これで操作感が大幅に向上しました。
そのために、もともとあったポストはぶった切って改造しております。
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指がよく触れるあたりです。
キイの加工でツルツルお肌を取り戻しました。
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次は上管です。
キイの山が無くなったところを作り直すのに苦労したことを覚えております。
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上管は管体を新品に交換しました。
こういうことができるのはヤマハの強みです。
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ついでなので、ボロボロだったケース取っ手も新品にリフレッシュです。
細かいことですが、使っていて気分が全然違います。
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組みあがった全体の姿を撮ってみました。
こんな感じで、仕上がりのイメージが伝わりますでしょうか?
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今回の修理で、またこの先も、この団体様の伝統を支えることの、ほんの少しでもお役に立てたのなら、とても嬉しい限りですヾ(*´∀`*)ノ ♪
ご依頼ありがとうございます。

ところで、今年はこれとほぼ同様の内容のバスクラ修理がもう1本入り、そちらもすでに完成しております。
こうした大物修理を、当方のような工房に依頼を頂けることをとてもありがたく感じております。
今後も更なる技術の向上に、努めてまいります。

また新しい記事をまとめたら、このブログでご紹介いたします。
またぜひリペア日記にお付き合いください。
ではまた。サヨ~ナラ~(´Д`)o尸

いよいよ大物 バスクラオーバーホール その2

さてさて、前回からの続きです。
下の写真はキイポスト(キイを支えている柱)で、これも一個一個丁寧に磨きを入れていきます。
この手の部品、数えてみたら、90個近くありました。これだけでも1日仕事です。゚(。´ノω・`)゚。ウウゥゥ
一個でも部品が無くなると大変なことになるので、神経を使います。
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キイも数えたら50個近くありました。LowCの楽器になると部品点数が格段に増えていきます。
今回特に長いキイのロッド部分が苦労した感がありました。
磨きが終わって、出荷前のお姿です。まだメッキは終わってません。
過去記事で再三書いておりますが、メッキの前の下地作りが何より重要です。そのために膨大な時間を費やすため、メッキ修理は値段が張ってしまうのです。
メッキ修理を依頼される方には、是非ご理解を頂きたいところです。(;´・ω・)
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そんなこんなで、メッキが終わって部品が帰ってきました。
今回はポスト・リングがピンクゴールド、キイがシルバーで仕上げました。
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ネックはピンクゴールドです。ベルもきれいになりました。
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全体の写真です。バスクラの部品でないもの(フルートキイ)も写っています。
フルートのメッキ修理も並行してやっていたもんで。
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いよいよ組み上げに入ります。
今回上管は割れの状態がひどかったため、管体そのものを新品に交換しました。
ヤマハの場合は、あまりにも割れがひどくなってしまった場合は、パーツとして調達ができる上、最終の金額が修正よりも安くできたりするので、おすすめです。
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ポストを立ててバネを入れていきます。
このポストを立てる作業がなかなかのパズルです。
一応メッキ前にポストの順番を考えて鈴掛けするのですが、戻す時に(*´-ω・)ン?となるときもあります。
バネ穴の位置や、キイシャフトの方向、長さなどから、総合的に判断して、もとの位置に寸分違わず戻していきます。
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キイの借り組みをするところですが、メッキでキイシャフトが通る穴が狭くなっているため、リーマーという工具で穴を整え直していきます。
ブレが少なく、なおかつ軽快なアクションのためには、この作業が大事です。
でも、この工具が高いんだなー。゚(PД`q。)゚。
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だいぶ途中経過をはしょってしまいましたが、何はともあれ完成です。
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次回の記事で、細かくアップも多めで、完成写真をお披露目していきますので、また是非ともご覧ください。
では(´Д`)o尸

いよいよ大物 バスクラオーバーホール その1

なんだかんだで、長いことブログ更新をサボっておりました。
もちろん仕事をしていなかったわけではなく、ブログを作ることに時間を割くことが大変だったためです(;´・ω・)
そんなわけで、今回は約半年前にやった仕事をご紹介します。

このバスクラは、もうすっかりお得意様の某団体様の楽器ですが、今回でこの仕様の楽器を作るのは、E♭CL・AltoCLに続き、3本目です。
こちらの団体様は、当方が開業して間もなくから、こうしたお仕事をお任せいただいている、大変ありがたいお得意様です。
それだけに、期待を一歩超えるものを作りたいと気合が入ります。

では、今回も順を追って説明して参ります。少し長くなりますが、お付き合い下さい(d゚ω゚d)♪

まずは、初めの状態をご覧ください。
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全体のメッキがはがれ、下地のくすみも多くなっています。キイもところどころ溶けたりしています。


続いてベルです。こちらもメッキの浮き、キズ、ヘコ、音孔の変形など、修正個所のオンパレードです。
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まずはハンダ分解して、パーツごとに修正していきます。
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表面が荒れているところは削って一定の平らな面に仕上げていきます。
この後の写真がないのですが、ツルツルにした後にハンダ接合しなおして、もとの形に組み直します。


ガサガサなキイの面も、
20140319_162905.jpg
20140319_163632.jpg
削って綺麗にしていきます。ここから磨きを入れていきます。


上記のような作業を繰り返していって、磨きが完了すると下の写真のように(写真はネック部分、一番最初の写真と同じもの)なります。
このネックはその後ピンクゴールドメッキにて仕上げをする予定です。
20140319_093647.jpg


この後は、キイ・ベル・ネック・ポストをメッキ屋さんへと旅立たせます。
次の記事ではメッキを終えて戻ってきた姿をお知らせ致します。
また次の記事も見て下さい。
では(´Д`)o尸

クラリネットオーバーホール ~魅惑のピンクゴールド編~ その3・完成編

ご覧いただいている皆様、サボりにサボったブログは、早期の更新を重ねて、ようやく完成編を載せることができました。
ワチョ――ヽ(・∀・)ノ――イ♪
クラリネットオーバーホール ~魅惑のピンクゴールド編~ その1からご覧いただいている皆様は今一度お付き合いください。
初めてご覧いただく方は是非その1から、また、過去の記事も合わせてご覧ください。


そんなこんなで、全て組みあがりました。写真も多めにピンク・ピンク・ピンクでお送りして参ります。

約20年の時を経て、生まれ変わった姿を是非ご覧ください(d゚ω゚d)
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全てケータイカメラで撮っています。できるだけズームしていますが、面の復活具合が伝わりますでしょうか?
実物は写真よりも綺麗です。

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レザーパッドにした、キイの組みあがり部分も写してみました。
レザーパッドは音孔へのなじみもいいので、タッチがものすごく明瞭になります。やや落ち着いたトーンと重厚な響きがとてもイイ!!♪d('∀'o)です。

続いて、今回1番苦労した、右手3連リング回りです。元の状態と比べて頂くと良く解るのですが、
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比べてみると、山の形やリングの形状など、失われていた形状が復活しているのがお分かり頂けるのでないかと思います。オーバーホールをする際は、こうしたメリハリが効いた状態になっているかどうかが、とても大きく全体の印象に係わってきます。
リング部分を、横からも写してみました。↓
20140120_222302.jpg

拇指音孔(リングの中の土管みたいな筒)とその周りです。
ここもよくダメになってしまうパーツです。ここなどは、キイが溶けてしまう前に、早めにゴールドプレートなどを施してしまっても良いのでないかと思われる部分です。
今回は土管は新品に交換、リングは形状を復活させました。
20140120_222056.jpg

A-G#クロスキイのあたりも、指の接触が多いので、よく面が荒れてしまいます。
全体を整えて、ゆでタマゴのような面を作ります。
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全体の写真をご覧ください。とても新品感がでています。
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ケースに収めて、施主様へお返しする前の、最後の写真です。
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これからまた新たな楽器生活を施主様と過ごしていくことでしょう。こうした仕事をさせてもらう機会を頂いたことを、深く深く感謝いたします。m(_ _)m

ご覧いただき、ありがとうございました。
では(^^)/~~~
プロフィール

klangbrass

Author:klangbrass
管楽器専門店・修理工房Klangへようこそ!
当方は秋田県秋田市で管楽器修理工房をしております。
難しいと思われていたキイの再生などが得意です。
金管・木管問わず修理を受け付けていますのでご連絡ください。
打楽器修理(ティンパニ修理等)も致しております。

HPアドレスhttps://www.klangbrass.net
下記のリンクの欄からご覧ください。
工房の場所や情報、また中古楽器情報も掲載しています。

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